近年、信号・電源品質の完全性(SI/PI: signal and power integrity)を考慮した回路設計に加えて、様々な物理現象が混在したシステムを協調設計する必要が高まっている。本研究室では、三次元設計で必要となる回路の電気的な動作検証だけでなく、三次元空間を伝播する電磁波ノイズ(EMI: electromagnetic interference)の影響を含めた適切なモデリング技術について研究している。また、クラスタやクラウド計算機環境を利用した高並列分散処理、及びマルチコアCPUやGPU(graphics processing unit) を利用した並列計算などのハイパフォーマンス・コンピューティングを活用することで、シミュレーションの高速化と設計最適化を目指している。その結果として、アジア・パシフィックのEMC国際会議2017では、最優秀論文賞を受賞した。従来の研究では、最適設計を行うために、いわゆるアニーリング手法を多用することで、三次元物理形状や回路レベルでの構造とパラメータを求めていた。しかしながら、このような手法では、膨大な計算時間が必要となる。そこで、それらの過程を大幅にスキップする方法として物理形状の寸法と材質パラメータを用いた降下法・人工知能アルゴリズムを利用したシミュレーションの高速化を目指している。この手法では、いわゆる1Dモデリングとの相性も良好であり、効果的なシミュレータの加速化を実現した。その結果、非線形理論とその応用に関する国際会議2019では、Plenary talkを実施するすると共にBest student paper awardを受賞した。ここ数年、人工知能科学に関する研究について注力している。
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研究テーマ
- ニューラルネットワークの最適化アルゴリズム
- Nesterovの加速準ニュートン法による学習アルゴリズム
- Knowledge Based Neural Networkの概念を用いた学習モデル
- 遺伝的アルゴリズムを用いた回路の最適化
- Cascade Correlationを用いたニューラルネットワークの最適化
- 電子設計自動化へのニューラルネットワークの応用
過去の研究テーマ
- 非構造メッシュモデリング手法を用いた多層プリント基板の高速過渡解析
- CMOS回路を含むインターポーザ基板上の多導体伝送線路のモデル化と高速シミュレーション
- シリコン貫通ビアによって積層されたチップ内電源分配回路網のモデル化と高速三次元解析
- 時間領域有限差分法を用いたプリント基板の電磁界シミュレーション
- 静電放電現象シミュレーションのためのモデル化と回路/電磁界混合手法
- 車載電子機器のコモンモードノイズ低減のための最適設計
- ハイパフォーマンス・コンピューティング
- クラスタ/クラウド計算機環境における並列分散処理
- マルチコアCPUやGPUを利用した高並列計算