3コイルのみ用いた2自由度制御形ベアリングレスモータ

概 要

当研究室ではこれまでに,三相インバータ1台のみで駆動可能な2自由度形ベアリングレスモータを提案している.このベアリングレスモータの固定子には,三相磁気支持巻線と単相電動機巻線の2種類の巻線が施され,電動機巻線は三相中性点と電源中点間に接続されている.このため,最大トルク・支持力は,スロット面積を占める各巻線の割合に依存し,巻線全てを回転・支持に利用できない.さらに,回路構造上,支持巻線にも電動機電流が流れ,不要な銅損が発生する.これに対し本研究では,固定子に1種類の三相巻線のみを施した新しい統合巻線構造を提案している.モータは,6スロット6極単相モータ構造であり,3コイルのみ使用する.各コイルの中性点と電源の中点を結線することで,三相4極回転磁界により2自由度(x,y)位置決め制御,単相6極交番磁界により回転制御を行う.固定子の歯先形状を非対称にしたスタガー構造により,コギングトルクを利用して交番磁界のみで連続的にトルクを発生させる.

提案するベアリングレスモータの構造
零相電流を利用した回路

テスト機を試作し,6000rpmまでの磁気浮上回転に成功している.3コイルのみ,6スロット6極単相永久磁石モータで,パワートランジスタを6個のみで構成可能なシンプルなベアリングレスモータを実現した.