バイオエコノミーとは、現在の社会が持つ気候変動・温暖化ガス問題や、天然資源枯渇や環境汚染、健康医療問題を、生物機能を利用した技術で解決し、長期的に持続可能な社会を目指す経済活動、考え方のことを指します。バイオエコノミーという言葉は、2009年にOECDが発表したThe Bioeconomy to 2030. Designing A Policy Agendaレポートによって、世界的に急速に広がりました。欧米各国、特にヨーロッパですでに取り組みが進み、2030年におよそ200兆円規模に成長すると試算されています。その中で、2015年12月にパリで開催されたCOP21で合意されたパリ協定に関する二酸化炭素の吸収と資源生産を行う光合成・植物バイオ技術が重要な技術分野と位置付けられ、既存の一次産業の枠を超えて農学・理学の研究成果の工業的利用がますます期待されています。このように、SDGsとパリ協定の目標を達成するためにバイオエコノミー社会の実現は重要な意義を持ちます。
日本におけるバイオエコノミー社会へ向けた取り組みは、2016年JABEX(日本バイオ産業人会議)がバイオエコノミーに関する国家戦略策定を提唱したのが始まりです。その後、内閣府の示したバイオ戦略2019で、「2030年の世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」を目標に掲げましたが、取り組みは世界的に遅れているのが現状です。
本研究所では、農学・理学による光合成・植物バイオ研究と光バイオ技術研究が連携することで、バイオエコノミー社会実現に貢献する新規技術を創出し、産学連携モデルの実証研究を行います。