研究内容

植物、森林、里山、生物間相互作用などを対象とした生態学の基礎的な研究から、身近な環境を活用して生態や環境を教育する手法や教材を開発する研究、それらを活用した教育モデルの開発まで、多様な研究を実施しています。理科の教員には、指導技術や専門的知識の他に、科学に対する熱意も必要です。当研究室では、科学技術教育に必要な資質・能力をもち、科学への熱意のある教員を育成することを第一の目標としています。研究テーマは主に次の4つになります。

1.植物の繁殖戦略における動物との相互作用の解明

 植物は繁殖において動物に依存していることがあり、両者に相利共生的な関係が多くみられます。そこで、動物による種子散布に注目し、種子散布者となる動物が植生に与える作用について研究を進めています。

2.照葉樹林における森林動態のメカニズムの解明

 照葉樹林は日本の暖温帯における代表的な自然植生ですが、原生的な照葉樹林は国土の1%程度まで減少してしまいました。そのような照葉樹林を保全するには、それが維持・変動する仕組みを知る必要があります。そこで、ユネスコエコパークにも指定された宮崎県綾町の照葉樹林において、森林動態のメカニズムを解明する研究を長期的に行っています。

3.里山にみられる生態系の特徴とその変化の予測 

 生物多様性の劣化は深刻な環境問題として国際的にも認識されており,日本も積極的にその保全に取り組む政策を展開しています。そこで、身近な環境である里山に注目し、人為的な働きかけの減少による生態系の変化を予測する研究を行っています。

4.里山を活用した生物多様性教育の学習モデル開発 

 学校教育においても、生物多様性の意味、生物多様性を保全する必要性、生物多様性を保全する方法を教育することが求められています。そこで、3で得られた基礎的なデータに基づき、里山において生物多様性を学習するためのモデル開発にも取り組んでいます。