【第28回】 再会を願う

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投稿者:山本 富嘉(昭和47年卒 理学部 数学科)

「知のトポス」という哲学小誌が新潟にいる静岡時代の友人から送られてくる。トポスは、数学では空間を定義する新しい概念であり、幾何学、集合論、多様体などからなる様々な空間概念に対し、統一的な視点を提供するものと云われている。この小誌の題の意味は察するに、哲学知の様々な概念に対し統合的な解釈の視点を提供しようとするものと、現代数学の意味からだが勝手に解釈している。

友人は本年3月発刊のこの小誌のなかで、ハイデッガー「時間と存在」講演録を邦訳している。20世紀初頭、ニュートンの決定論的な古典力学から相対論、量子力学の新しい現代物理学が芽生えた。ハイデッガーは、不確定性理論などこの時期の現代物理学の影響を受けて、現象=存在の認識に関する課題を論じている。存在を人が認識しているのではなく人が認識したものが存在という、謂わば人間原理に基ずく逆転の視点を提供する。

さて、20世紀半ばの戦後に新制大学が設立されて早や半世紀有余が経つ。この間、世界は大きく変貌し様々な体験をした。東西冷戦終結からBRICs新興国台頭、経済・金融のグローバル化、更には昨年から続くアラブの春と西欧の金融危機。国内も同様であり、昨年は東日本大震災に続き原発事故がありカオス的様相である。この半世紀有余の世界は、これまでに人類が経験したことない短期間で急激な変貌をあらゆる分野で遂げている。

青春を同じ学舎で共に過ごした皆さんには、世界はどのように映ったのだろうか。来年2013年5月25日に新宿のホテルで静大全学合同(東京地区)の同窓会が企画されている(詳細別報)。 十人十色の多様な空間が織りなされるものと期待される。多くの同窓が声をかけ合い参集し、おのおのの楽しく愉快な再会を願う。・・・来てね。