【第170回】エリザベス女王陛下と園芸文化

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投稿者: 二宮 孝二(昭和47年度 農学部園芸学科卒)


エリザベス女王が亡くなられました。世界中の人々から愛された女王陛下、私も数回チェルシーフラワーショウでお会いして庭の話をさせていただくことができ、今更ながら貴重な体験をさせていただいたと思っています。

初めてお会いしたのは、チェルシーフラワーショウで1996年に日本人として初めてチェルシーゴールドをいただいた時で、2回目と3回目は2006年と2007年にチェルシーフラワーショウでお会いしました。チェルシーフラワーショウでは女王陛下が庭園の前を歩かれてデザイナーにご挨拶をされるROYAL VISITという日があります。僕も自分の庭の前で女王陛下にご挨拶をさせていただきました。イギリスの友達に女王陛下から質問されたらなんと答えれば良いか聞いた時に、Your Majesty(陛下)とは言わなくて Yes、Mom と言えば良いと言われて、国民との距離がそんなに近いのかとびっくりしたことを覚えています。多くの庭はただご挨拶で前を通り過ぎて行かれるのですが、僕の庭の前では立ち止まっていただき、女王陛下に庭の話をさせていただきました。女王陛下は見るからに優しいお人柄で、日本ではガーデニングブームでイングリッシュガーデンがとても流行っておりますと申しあげたら、イギリスでも日本庭園がとても人気ですとおっしゃられました。3度目は女王陛下が庭の前を通り過ぎた後、私を覚えていていただいてわざわざ戻ってきていただき、とても感激したことは良い思い出になっております。その時に女王陛下とは別に、珍しくチャールズ皇太子(現国王陛下)がお見えになり、とてもガーデニングに熱心な現国王に庭の説明をさせていただきました。この時チャールズ新国王は僕の話を大変興味を持っていただきゆっくり聞いていただきました。

エリザベス女王とチェールズ新国王のお二人に庭の話をさせていただけたのは、日本中はもちろん世界中でも珍しいと思います。


逗子市生まれ、高校(旭丘高校)まで名古屋市で育つ。
静岡大学農学部園芸学科卒業 その後、千葉大学園芸学部大学院終了

1975~1979年 ドイツ、イギリス、ベルギー、オランダで研修
1980~1981年 バグダッド(イラク)サダムフセインの戦争博物館の庭を作る
1991~1993年 フロリヤード92(オランダ)日本庭園(日本国政府出展)参加
1994年 BALI(英国造園協会)よりグッドデザイン賞(大庭園部門)日本人初受賞
1995年 チェルシーフラワーショウ(イギリス王立園芸協会)にてホンダティーガーデンでゴールドメダル(庭園部門)、シルバーメダル(小庭園部門)日本人初受賞
1998年 キューケンホッフ公園(オランダ)日本庭園改修工事に参加
2000〜09年 エラズリーフラワーショウ(ニュージーランド) 国際庭園審査員
1998~2009年 静岡緑花祭、浜名湖花博ワールドガーデンコンペティションチーフ ディレクター
2005年 エコバチェルシーホスピタルガーデン(チェルシー)ベストガーデン賞、ゴールドメダル、ピープルズチョイス 三冠受賞
2007~08年 チェルシーフラワーショウで内山緑地建設(株)とともに銀賞受賞
2008年 メルボルンフラワーショウ‘SEI-SEI TEI’ベストガーデン受賞(三冠受賞)
2009年 浜名湖W.G.C.チーフディレクター、RHSハンプトンコートF.S審査員(日本人初)
2010年 エラズリーフラワーショー( NZ)、ゴールドメダル受賞(日本人初)、世界三大フラワーショウ ゴールドメダル受賞(世界初)
2011年 マレーシアガーデンショウFLORIA2011 金賞受賞(日本人初)
2012年 シンガポールフラワーフェスティバル銀賞受賞
2011〜13 陸前高田3.11ガーデンチャリティー‘奇跡の丘’プロジェクトに参加、花による被災地の復興支援に参加

以下省略


※写真の説明は以下の通りです。

1枚目はエリザベス女王陛下
2017年の時に庭の話を女王陛下とした時のものです。庭が完成した後、皇室の訪問があり、女王陛下が各庭園を見て回られるのですが、女王陛下が僕のことを覚えていてくださってわざわざ引き返してきていただき、いろいろ話をさせていただいた時のものです。

2枚目はチャールズ国王です。
当時は皇太子殿下でしたが現在は国王になられています。彼は有機栽培などに造詣が深く、ご自身で畑仕事をされているようです。英語には敬語がないので助かります。お二人とも気さくな方でいろいろ庭の話をさせていただきました。

3枚目は、1996年、チェルシーフラワーショウで日本人として初めてゴールドメダルを受賞した時のものです。