【第187回】塞翁が馬 -静大でよかった-

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投稿者: 寺田 直己(昭和54年 教育学部 小心理教育 卒)


昭和50年3月末、合格発表を見に行くのが怖くて、既に浪人が決まっていた友人に同行してもらった。教育学部B棟ピロティの掲示板に目を凝らし、かろうじて名前を見つけた。近くの公衆電話から家に電話すると、母が喜んだ。それとは裏腹に不安に思った。この大学で人生が決まる。それでいいのか。

モヤモヤを抱えながらも学生生活ではクラスの友人に恵まれた。(伝説の)つま恋コンサートに行ったり、スキーや離島に行ったりした。数学の試験中に助けてもらって単位を取った。教育学部B棟階段下で卓球をして先生に怒られた。でも授業は真面目に受け(自己評価)、望んだ教員免許状が取得できた。心教の仲間がいてよかった。

演劇研究会ではコンパで訳も分からず「インターナショナル」や「若者たち」を歌い、吉田拓郎が流れるサークル小屋で芝居の練習をした。通学生だったので公演前の徹夜や宣伝活動の下宿周りの経験はなかったが、濃密な時間を過ごした。管理職になるまでの28年間はバレーボール部顧問で演劇とは全く縁がなかったが、退職前に高等学校文化連盟会長を務めたことは大学での経験の帳尻合わせのような気がした。劇研の一員でよかった。

20代後半の時、部活動の練習試合の際に大先輩から教育学部同窓会に顔を出すように言われた。出てみたら役が付いていた。あれから約40年経つが、高校支部を始めとして、素晴らしい方々と出会うことができた。同窓会に関わってよかった。

コロナ禍前までは「静岡大学高校教職員同窓会」が毎年開催され、出身学部は異なるものの高校教育に携わる者が集う機会があった。仕事の幅が広がるのにつれ、他学部の方と横のつながりを持つことが増え、広い意味で同窓のよしみのありがたさが感じられることが多かった。他学部の先生方との縁ができてよかった。

令和6年9月、まだ何者でもなかった写真の中の私に言える。この大学があって人生があった。静大でよかったよ。