投稿者:横山 賢治(理学部数学科 1978年3月卒)
眼光鋭く強い口調で「何にする?」と聞かれ、恐る恐る「さば、みそ、大」と答えた1年生の春から、あっという間に大学生活5年の月日が流れました。
このやりとりを聞いて懐かしいと感じた皆さんは、大谷片山、堀之内、小鹿あたりに下宿をしていた人たちだと思います。
私は、昭和48年から53年まで大谷片山のバス停近くの「片山荘」に下宿をし、「浜田屋」さんには大変お世話になりました。冒頭の「さば、みそ、大」は、さば=さばのから揚げ、みそ=味噌汁、大=ご飯のどんぶり茶碗の大盛のことです。
あと「冷やっこ」とおかずを1皿とって食べても360円くらいでした。リーズナブルかつ栄養補給も完璧でした。
最初ただものではないな、と思った恐そうな大将も実は人情味のある優しい人であると半年過ぎた頃から、分かりました。ときどきコップ酒を一気に飲み干す所作には、あこがれも感じました。静岡弁が耳に心地よく優しくてよく働く大将の奥さん、てきぱきと仕事をこなしながら話しかけてくれるちょっと怖い感じの娘さんと最強のスタッフでした。娘さんは、四国香川県の田舎から出て来て見知らぬ土地での学生生活に不安を抱いている18歳の少年がいかにも頼りなく見えたのか、よく話しかけてくれました。休憩中、外でタバコを吸っている姿に思わず「かっこいい!」と叫びたくなるようなそんなお姉さんでした。
そのあと、大阪で6年、香川県で41年教員をしていますが、いまだに「浜田屋」さんのさば定食が妙に懐かしく、「もう一度、食いていなあ!」と思う70才です。