投稿者: 鈴木 敦子(昭和45年 教育学部中学校教員養成程(国語科)卒)
『一年間、ありがとうございました。・・・私的には前よりとても成長したと思います。お母さんもステップアップに行ってから成長したねとほめてくれました。・・・』
焼津市主催の学習支援事業「ステップアップ教室」で一昨年担当したAさんが、最終回にくれた手紙の一部です。Aさんは算数が大の苦手、授業中に発表することはなく、県の定着度調査ではいつも一桁の得点しか取れないと言いました。問題を解くために考え方を説明しようとしても、とにかく早く答えを知りたいと言う子で、指導も悩みました。
でも、ある時、「Aさんの好きなこと、得意なことは何?」と聞いた私に「得意は料理。夕飯の支度は私が毎日やる。野菜炒めやみそ汁、カレーもできる。」と言ったのです。
Aさんの家庭環境を想像し、驚きましたが、
「5年生でそんなにできるなんてすごい、私も料理が好きだけど、5年生の時はそんなにできなかったなあ。」と返したら、その後、兄弟やお母さんの悩み、時々はいやになるなど、たくさん話をしてくれるようになりました。
算数が苦手なAさんを何とか!とだけしか見ていなかった私。大いに反省し、その後はAさんと仲良くなりながら楽しく進めることに心がけました。後に、その年度の定着度調査で二桁が取れたと大喜びでAさんが教えてくれました。
ステップアップ教室は担任とも親とも塾とも違うゆったりした目で子供に寄り添い、ステップアップを図ることを目的としています。開催する学校数もかかわる指導員も増えてきています。新型コロナの影響で今年度は開始が遅れていますが、どんな子と出会うのか、その子はもちろん、指導員の私自身もどんなステップアップができるか、楽しみです。