投稿者: 小林 哲雄(昭和44年 教育学部中学校教員養成課程卒)
教職から離れ、その後の教育関係の仕事も終わりほっとした頃、教育学部同窓会の仕事をさせていただくことになりました。そこでいただいた資料の一つが「先生になることがゴールじゃない。」のタイトルが入った教育学部案内パンフレットでした。
さて、私の教職生活は、県西部の小さな高校で理科教員(主に物理)としてスタートしました。私には、30代の先輩教員が何でも知っているように見えました。しかし、自分が30代になっても、いくつになっても、知らないこと、分からないこと、うまくいかないことが沢山ありました。
改めて自分の教員生活の内、教科指導について振り返ってみました。新卒の頃、理科では「探究の過程を重視し、科学の方法を習得させる。」という目標が示され、私はPSSC物理(米)の翻訳書など先進国の取り組みも参考にしながら、仲間達と教材研究とその実践に努めました。その後、理系への進学を目指す生徒の多い学校に勤務し、探究的な学習にプラスし、大学入試対応から問題演習にも力を入れ、その両立に苦心しました。そんな中、ある生徒から「先生は嫌いではないが、演習の多い物理が嫌いになった。」という手紙をもらいました。この声を忘れずに、その後の教科指導に活かしました。また、思いも寄らない発想で、本質をついた鋭い質問を受け、答えに窮し、一生懸命調べて答えたこともありました。子どもと共に学び続けた教員生活でした。これは教科指導以外の様々な仕事も同様でした。
一方で、卒業何十年後かの同窓会で、「物理の授業の影響で今の自分(職業)がある。」とか、「先生の一言の影響で進路を決めた。」などと聞くと、教員は「やりがいのある仕事だった。」とつくづく思うと同時に、「責任の重い仕事だ。」と今更ながら思います。
先生を目指している皆さんが、先生のスタートラインに立てるようエールを送ります。