投稿者:三宅純平(平成9年 人文学部 言語文化学科卒)
本年で、卒業からちょうど20年が経ちました。卒業後、旅行会社に勤務し添乗員・サラリーマン生活を経て、結婚を機に家内の実家のお弁当屋「竹酔」にて勤務し、5年前から代表取締役を務めさせて頂き、日々奮闘致しております。
昨年は、人文学部の同窓会組織「岳陵会」と大学との連携講座「現代社会の変容とキャリア形成」という講座にて、学部の1・2年生を対象に講義の機会を与えて頂きました。
講義の最後に、映画「男はつらいよ」の寅さんのセリフを紹介させて頂きました。「大学にいくのは何のためかな」と質問する甥っ子に、寅さんはこう答えていました。「人間長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。な、そんな時、俺みてえに勉強してない奴は、この振ったサイコロの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがないな。ところが、勉強した奴は自分の頭で、きちんと筋道を立てて、はて、こういう時はどうしたらいいかな、と考える事が出来るんだ。だからみんな大学行くんじゃないか」(映画 「男はつらいよ」より)
後日、講義に参加した学生約170名から、小レポートを送って頂きました。高校までの範囲の決められていた勉強、受験のための勉強から、大学という自由さの前に途方にくれ、大学でいったい何を学べばいいのか、という疑問。やがて来る就職活動、社会人としての生活への漠然とした不安。20年前にちょうど私自身が抱えていた悩みを多くの学生が抱えていていることに不易流行―変わっていくものと変わらないもの―を感じました。
あの時周りはこうだったけど、俺は悩んでこうしたな。あの時みんなはこうしたけど私は自分で考えてこうしたな。そういう過去の自分、自分自身の生きてきた道が、将来自分を励まして支えてくれる。
若さの特権である人生の春の時期に、将来本当につらいときに励ましてくれる「自分自身」に多くの学生が出会えることを願いました。