【第77回】自撮り(セルカ)棒発明と流行

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投稿者:上田 宏(昭和39年工学部精密工学科卒,浜松工業会・ミノルタ千代光会理事)

 私はミノルタのカメラ開発の技術者として1964年入社以来の創造活動を通じての習性から、開発するテーマが与えられた時に、手順を追って開発するより先にその理想機械を考えてみたほうが発想が豊富になり、良い発明が生まれると思っていました。
カメラの理想機械は「念力カメラ」であり、好きな時に何処でも自由に写真が撮れるにはカメラが宙に浮いて被写体の写真が撮れるのが理想です。

1982年コダックのディスクカメラが発売されてミノルタでディスクカメラの開発リーダーだった私は薄型・軽量カメラにエキステンダー(収縮棒)を付けて、カメラを宙に浮かせて自分を撮れるディスクカメラを開発し、カメラと付属品エキステンダーを1983年に発売し初めての月産10万台を達成しましたが、15コマのディスクカメラの回転式フイルムは35ミリフイルムの1/10と面積小さくて画質が悪く、数年でカメラもフイルムも発売中止になりました。
しかし、1983年1月日本実用新案出願したのを1985年7月米国特許登録 (US4530580、2003年7月まで有効)しておいたのですが、自撮り(セルカ)棒がここ数年来世界的に流行して、その発明者として脚光を浴びています。

「自撮り棒」は自分の出会った時空(時間・空間)を何時でも何処でも記録しておく道具です。

スマホ(多機能携帯電話)は薄型軽量でカメラが付いていて、自撮り棒に付けて操作し易すく、人に頼まないで好きな時・場所で写真が撮れるので、今後も自撮り棒は写真の道具として愛用されると思います。

特許の有効期限よりその技術の流行が遅くなると経済的効果が薄くなります発明が早すぎる午前3時の発明でしたが世界に先駆けたのはうれしく愉快でした。