投稿者:柴田 俊二(昭和43年 農学部農芸化学科卒)
現在では、景気が好転してきているとはいえ相変わらず難しい就職情勢が続く中で早期から長期に亘、長い就職活動を強いられている学生が多いと聞いています。私の学生時代も現在と同様に就職が厳しい状況ではありましたが、4年生の12月頃までには何とか就職が決まるというのが一般的でした。最近の学生は、就活に相当の時間を割かれ研究・学問の習得や社会勉強の機会が失われているような気がしてなりません。
私の中学・高校時代は生物クラブへ入部し、蝶採集・植物採集に没頭、将来は農業関係に就職したいと思いつつ、なんとか希望通りの静大農学部に進学、卒業後には幸運にして静岡県経済農業協同組合連合会に就職することができました。
私は、サラリーマンの家庭で育ち農業とは無縁でしたが、夢が現実のものとなり農業に向き合う心構えは「ヘタの横好き」から「好きこそものの上手」を目指すことでした。
恥を恐れず何事にも勉強そして勉強・・と位置づけ多くの指導者に接し汗を流しながら全力で取り組みました。就職3年目の頃、農業の基本である土壌改良をテーマに「土つくり運動」を展開することになり、私はこの担当を担うこととなりました。
新設の土壌肥料分析センターに配属され、暗中模索・無我夢中で業務に取り組み、県下JAを巡回しながら農家が持ち込んだ「土」を簡易診断測定器で分析し、その日の内に分析結果の公表と指導事項を提供するという当時とすれば画期的な業務を若さに物言わせ消化してきました。結果は生産者・関係者から好評が得られ、疲れも吹き飛びエネルギーが湧いてくる充実した業務でした。大学で学んだ「土壌肥料学専攻」が多いに活かされ、幸運にも恵まれ「ヘタな横好き」から進化すべく充実した毎日を過ごすことができました。今、思い起こせば熱く充実した職場・業務だったと悦に入りサポートしてくれた皆様に感謝とお礼を申し上げたいと思います。残念ながら現在では大学に「土壌肥料学研究室」はなくなりました。時代の変化を感じます。