投稿者:藤岡 換太郎(1971年卒業 理学部共通学科)
静岡県は西部と東部で歴史や文化だけでなく自然も異なる。静岡県には大きな川が5本ある。東から狩野川、富士川、安倍川、大井川、天竜川である。小さなものに黄瀬川と柿田川がある。狩野川だけがフィリピン海プレートの上にあり、それ以外はユーラシアプレートに帰属する。そのため狩野川のみが北流し他はすべて南流する。静岡県の自然はフィリピン海プレートの影響を大きく受けている。
静岡県西部では沖合海底の南海トラフにたまった堆積物がフィリピン海プレートによって陸側に押し付けられてせり上がり陸を作った。付加体という。付加作用は現在も進行中であるが、その陸上にある赤石山地などは一昔前の付加体である。
一方県の東部ではフィリピン海プレートの北上に伴い伊豆半島が、本州に衝突している。衝突帯である。1930年の北伊豆地震の折に工事中の丹那トンネルがずれた。その結果その上にあった柿沢川はS字状に曲げられてそれが黄瀬川へ、さらに狩野川に合流する。伊豆半島は衝突のために中央を通る断層によって北流する狩野川を作った。さらに太平洋プレートの沈み込みに伴ってできた火山が富士山や天城山などである。富士山は隙間の多い溶岩でできており降った雨は地下へと浸み込んで地下にある緻密な溶岩に沿って流れ下り三島でいきなり地表に現れて川となる。柿田川の湧水でありノーエ節である。 富士川は山梨県の甲斐駒ケ岳など花崗岩の山を源流に持ち、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界を流れる川である。山が高く海岸までの距離が短いために日本三大急流の一つになっている。
一方、天竜川や大井川そして安倍川は四万十帯や瀬戸川帯と呼ばれる付加体を流れる川である。これらの川は山間部では穿入蛇行しているが、かつては海底谷であったものが隆起して陸上の河川となった。その源流部もかつては海の底にあった付加体である。
このように静岡県の河川は県の地質の違いを忠実に反映している。