海洋には大気中の二酸化炭素に匹敵するほどの大量の炭素が有機物として貯蔵されていますが,そのほとんどは目に見えない大きさで海水中に存在し,多くが細菌群集により分解されます.しかし中には何千年も残り続けるものもあり,何がそのような大きな違いを有機物の分解性にもたらしているのか全くわかっていません.私は,海洋の生元素循環を解明するために,『有機物の微生物分解』をキーワードとして,海水中の有機物と細菌群集の関係を調べています.細菌群集は目の前にある有機物を何千年もただ手を拱いて見ていただけなのでしょうか?生物と環境の共進化の観点から,有機物の供給に対する細菌の応答の変遷とそれによる環境への影響を評価する研究も展開していきたいと考えています.