【論文】新谷教授の論文がMicrobial Genomicsに掲載 2025/Sep

  1. 抽出情報(短く) 
  • 論文タイトル:Enhancing plasmid typing with MOB-typer: resolving IncP and other incompatibility group misclassifications in Pseudomonas (microbiologyresearch.org) 
  • URL(参照元): 

https://www.microbiologyresearch.org/content/journal/mgen/10.1099/mgen.0.001491 

 

  1. 研究の要点(一般向け) 
  • 日本語 
  • 一言要約:プラスミド型別ツール「MOB-typer」が、Pseudomonas の“IncP”関連をひとまとめに誤分類しやすい問題を整理し、データベース汚染(誤ラベル拡散)の実例と対処の方向性を示した。 
  • 背景(なぜ重要):プラスミド(細菌が持つ可動性のDNA)は薬剤耐性(AMR)などの遺伝子を水平伝播させ、流行解析では「どのプラスミド群か」の正確な分類が前提になります。 
  • 何をした: 
  • 既存の分類史(Inc群の命名の由来:Pseudomonas 側の IncP-1P-14 と、腸内細菌科側の IncP など)を整理し、IncP”という同名・近名が別物を指し得る点を明確化。 
  • MOB-typer とその参照DBが、IncP-6/7/9 など IncP-由来の名前”をまとめて ‘IncP’ と表示しやすい構造的な問題を指摘。 
  • 何が分かった(主要結果): 
  • 例として、PLSDB(プラスミドDB)で ‘IncP’ と付いた 656のうち、少なくとも 234 IncP-2/3/4/6/7/9 やハイブリッド等の別群に相当し得る、と報告。 
  • IncP-2 の代表例 pOZ176 由来の配列が、主要な複製開始遺伝子(RIP)ではなく補助的RIPに相当するのに ‘IncP’ と扱われ、誤分類を誘発しうる点を具体例として説明。 
  • 著者らの問題提起を受け、PLSDB側は注釈精度向上のために **PlasmidFinder を追加で再統合(20251月)**した経緯が述べられている。 
  • 価値・応用:AMRの分子疫学やメタゲノム解析で、誤ラベルが連鎖的に引用・再利用されるリスクを減らし、「データベースをきれいに保つ」ための実務的な注意点(ツール併用・命名の扱い)を共有する。 
  • キーワード(37):プラスミド、replicon typingMOB-typerPlasmidFinderPLSDBPseudomonasAMR (microbiologyresearch.org) 
  • 連想モチーフ:ラベル貼り替え/データベースの掃除/分岐する系統樹/バーコード(型別)/警告アイコン(誤分類)/バージョン管理 

【プレスリリース】ワインブドウの成育測定はAIにお任せ: 静岡大学の生成AI拡張技術を用いた農業DX

国立大学法人静岡大学(所在地:静岡県静岡市、学長:日詰 一幸、以下、静岡大学)は、ヤマハ発動機株式会社(所在地:静岡県磐田市、取締役会長 兼 代表取締役社長 渡部 克明、以下、ヤマハ発動機)と連携し、十分かつ高品質な教師データの準備や作成に労力を要する農業分野等での機械学習タスクに対し、条件つき画像生成AIを用いた新たな生成データ拡張手法の研究開発に成功しました。

スマート農業の実現には、農作物の画像から特定の部位をラベル付けした大量の教師データが必要となります。
しかし、農作物の画像データは、同一品種であっても時刻や天候、生育状態、栽培環境によって様々な様相を示し、多様なドメイン的特徴を持っています。
また、熟練農家の勘や経験に基づく栽培手法や、農作物の複雑な形状と葉が生い茂るような成長過程も伴い、花や果実、節、熟度,病害の程度といったラベル付けが曖昧になりがちで、高品質かつ一貫した大量の教師データの作成を困難にしていました(図1)。

そこで、静岡大学の峰野研究室とヤマハ発動機では、条件つき画像生成AIを用いた新たな生成データ拡張手法を研究開発しました(図2)。
この手法では、無人地上車両 (Unmanned Ground Vehicle, UGV) 等で撮影される動画データから大量の画像データを抽出し、まずこの大量の画像データを用いて大域的な特徴を学習させます。
次に、少量の教師画像データを用意して局所的な特徴を追学習させることで、指定する条件に沿ったドメイン的特徴を持つ教師画像データを機械的に大量に自動生成できます(図3)。
一般に、生成画像の良し悪しを判断するのは難しいのですが、知覚類似指標を用いた自動選別を可能としています。

本技術を用いてワインブドウの成育測定における少量の夜間画像から昼間画像の生成データ拡張を行い、様々な物体検出モデルとKeypoint検出モデルで有効性を検証しました。
その結果、物体(BBox)検出タスクで28.7%、部位(Keypoint)検出タスクで13.7%の大幅な精度向上が見込まれることを確認しました。

これにより、十分かつ高品質な教師データの準備や作成に労力を要する農業分野において、教師画像データ準備の労力を抑えられます。
試算では、教師画像データ準備(2,400枚)に要する労働時間を600時間から1時間程へ大幅に削減することが可能になります。
また、異なる時刻や天候、圃場、成長段階などの変化への適用も可能で、作物の成長推定や収量予測など、AIを活用した農業DX発展のさらなる加速が期待できます。
当研究室では、農家の高齢化や減少に対応し、情報科学技術の側面から環境負荷の低減と生産性向上の両立を目指しています。

本研究成果は、Computers and Electronics in Agriculture 誌に掲載予定(先行Web公開)です。

 図1. 農業AI構築のための教師データ作成の困難性

図1.
農業AI構築のための教師データ作成の困難性

 図2. 画像生成AI(条件つき拡散モデル)を用いた新たな生成データ拡張手法

図2.
画像生成AI(条件つき拡散モデル)を用いた新たな生成データ拡張手法

 図3. 指定する条件に沿った教師画像データを機械的かつ大量に自動生成

図3.
指定する条件に沿った教師画像データを機械的かつ大量に自動生成

【論文情報】(先行Web公開日:2024年12月28日,https://doi.org/10.1016/j.compag.2024.109849

掲載誌: Computers and Electronics in Agriculture (Cite Score: 15.3, Impact Factor: 7.7, Q1) *
論文タイトル: D4: Text-guided diffusion model-based domain adaptive data augmentation for vineyard shoot detection
著者: 平原健太郎,中根睦仁,海老沢源,黒田剛士,岩城洋平,内海智仁,野村祐一郎,小池誠,峰野博史

* Computers and Electronics in Agricultureは、農学、園芸学、林学、水産養殖学、畜産学など、農業における問題解決のためのコンピュータ・ハードウェア、ソフトウェア、電子計測器、制御システムの開発と応用の国際的な研究成果をカバーしている学術雑誌です。

※本研究は、JST創発的研究支援事業(JPMJFR201B)の支援を受けて実施されました。
研究課題名: マルチモーダルフェノタイピングによる適応型情報協働栽培手法の確立
研究代表者: 峰野博史(静岡大学 学術院 情報学領域/グリーン科学技術研究所)

グリーンサイエンスカフェ2024 on 静大TV!

今年度のグリーンサイエンスカフェ 静岡大学キャンパスフェスタ・テクノフェスタ編の様子が静大TVで視聴できます。こちらをクリックすると静大TVのページへリンクします。

参加してくださった方々に感謝するとともに来年度は更に盛り上げたいと意気込んでおります。逃してしまった方も是非雰囲気を味わってください。