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ペプチド結合の“崩れ”に、反応設計で答える。

· 論文タイトル:Racemization-free peptide bond formation via 2-nitrobenzensulfonyl strategy for diastereoselective synthesis of (Z)-fluoroalkene-type peptidomimetics (RSC出版)
· 年:2025(First published: 07 Apr 2025) (RSC出版)
· 掲載先:Organic & Biomolecular Chemistry(Issue 18, 2025 / 23, 4480–4486) (RSC出版)
· 著者:Chihiro Iio, Kohei Sato, Nobuyuki Mase, Tetsuo Narumi et al. (RSC出版)
· DOI:10.1039/D5OB00477B (RSC出版)
· URL:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/ob/d5ob00477b (RSC出版)

· 参考:Supporting Information(補足資料PDF)

1. 研究の要点

o 一言要約:ペプチド合成で起きがちな「立体の崩れ(ラセミ化/エピマー化)」を抑え、(Z)-フルオロアルケン型ペプチド模倣体を狙い通りの立体でつなぐ反応設計を示した研究。 (RSC出版)

o 背景(なぜ重要):ペプチド(アミノ酸の鎖)は“立体”が機能に直結しますが、結合を作る工程で立体が混ざると、同じ分子式でも性質が変わり得ます。特にXaa–Pro型のフルオロアルケン等価体(FADI)は有用な一方で、結合形成時に立体が崩れやすいのが課題でした。 (RSC出版)

o 何をした:Xaa–Pro型FADIと、アミノ酸ベンジルエステル/ペプチドを反応させる際、N末端保護基として2-ニトロベンゼンスルホニル(Ns)基を使う“カップリング戦略”を提案。スルホンアミド陰イオン形成を利用して、α位の脱プロトン化(=立体が崩れる入口)を抑える設計。 (RSC出版)

o 何が分かった(主要結果):Ns基を鍵に、ラセミ化/エピマー化を抑えたまま、(Z)-フルオロアルケン型ペプチド模倣体の立体選択的合成が可能であることを示唆。FADIの設計・活用範囲を広げる“土台”になる、と結論づけています。 (RSC出版)

o 定量情報:本文(RSCの表示範囲)から主要な収率・選択性の代表値を十分抽出できず。補足資料では、合成途中段階の例として98% ee(鏡像体過剰率)等の記載あり。

o 価値・応用:立体が崩れやすいペプチド結合形成を“反応設計で抑える”発想は、立体純度が重要なペプチド医薬・材料・プローブ開発の合成基盤を堅くする可能性。 (RSC出版)

※本稿は、掲載論文(URL)に基づき生成AIを用いて要約・表現を作成しています。内容の正確性には配慮していますが、解釈や表現の過程で不正確な記載が含まれる可能性があります。正式な情報は原論文をご確認ください。

【論文】新谷教授の論文がMicrobial Genomicsに掲載 2025/Sep

伝播するのは遺伝子だけじゃない——誤ラベルも。

論文タイトル:Enhancing plasmid typing with MOB-typer: resolving IncP and other incompatibility group misclassifications in Pseudomonas

年:2025Published: 09 September 2025

掲載先:Microbial GenomicsLetter / Volume 11, Issue 9

著者:Masato Suzuki, Haruo Suzuki, Yosuke Nishimura, Hideaki Nojiri, Masaki Shintani

DOI:10.1099/mgen.0.001491

 

研究の要点

一言要約:プラスミド型別ツール 「MOB-typer」 が Pseudomonas の “IncP” 関連プラスミドを一括して誤分類しやすい問題を整理し,データベース上での誤ラベル拡散の実例と,その対処の方向性を示しました.

背景(なぜ重要か)

プラスミド(細菌が持つ可動性DNA)は,薬剤耐性(AMR)遺伝子などを水平伝播させる主要な要因です.そのため、流行解析(分子疫学研究では),「どのプラスミド群か」を正確に分類することが解析の前提となります.

何をしたか

Pseudomonas における Inc 群の分類史(IncP-1〜P-14)と,腸内細菌科で用いられてきた IncP などの命名体系を整理し,”IncP” という名称が招く誤解・混乱されやすい点を明確化しました.そのうえで,MOB-typer およびその参照データベースが,IncP-6,IncP-7,IncP-9 など「IncP 由来の名称」をまとめて “IncP” と出力してしまう構造的問題を指摘しました.

何が分かったか(主要結果)

例として、PLSDB(プラスミドデータベース)で “IncP” と注釈された 656 件のうち,少なくとも 234 件は IncP-2,IncP-3,IncP-4,IncP-6,IncP-7,IncP-9,またはそれらのハイブリッドに相当し得ることを示しました.また,IncP-2 プラスミドの代表例である pOZ176 由来配列が,主要な複製開始遺伝子(RIP)ではなく補助的 RIP に相当するにもかかわらず “IncP” として扱われ,誤分類を誘発し得る点を具体例として示しました.
本研究での問題提起を受け,PLSDB 側では注釈精度向上のため,PlasmidFinder を追加で再統合(2025年1月)する対応が取られました.

価値・応用

AMR の分子疫学解析やメタゲノム解析において,誤ったプラスミドラベルが連鎖的に引用・再利用されるリスクを減らすために,ツールの併用や命名の扱いに関する実務的な注意点を共有します.「データベースをきれいに保つ」ための具体的な視点を提供する研究です.

本論文はMicrobial Genomics 誌において 2025年9月の「最も閲覧された論文の一つ」に選ばれました.
英国のMicrobiology Society の Chief Executive(Peter Cotgreave 博士)からも,本研究が研究コミュニティにとって価値ある成果として高く評価されているとのコメントが寄せられています.

本稿は、掲載論文(URL)に基づき生成AIを用いて要約・表現を作成しています。内容の正確性には配慮していますが、解釈や表現の過程で不正確な記載が含まれる可能性があります。正式な情報は原論文をご確認ください。

【プレスリリース】ワインブドウの成育測定はAIにお任せ: 静岡大学の生成AI拡張技術を用いた農業DX

国立大学法人静岡大学(所在地:静岡県静岡市、学長:日詰 一幸、以下、静岡大学)は、ヤマハ発動機株式会社(所在地:静岡県磐田市、取締役会長 兼 代表取締役社長 渡部 克明、以下、ヤマハ発動機)と連携し、十分かつ高品質な教師データの準備や作成に労力を要する農業分野等での機械学習タスクに対し、条件つき画像生成AIを用いた新たな生成データ拡張手法の研究開発に成功しました。

スマート農業の実現には、農作物の画像から特定の部位をラベル付けした大量の教師データが必要となります。
しかし、農作物の画像データは、同一品種であっても時刻や天候、生育状態、栽培環境によって様々な様相を示し、多様なドメイン的特徴を持っています。
また、熟練農家の勘や経験に基づく栽培手法や、農作物の複雑な形状と葉が生い茂るような成長過程も伴い、花や果実、節、熟度,病害の程度といったラベル付けが曖昧になりがちで、高品質かつ一貫した大量の教師データの作成を困難にしていました(図1)。

そこで、静岡大学の峰野研究室とヤマハ発動機では、条件つき画像生成AIを用いた新たな生成データ拡張手法を研究開発しました(図2)。
この手法では、無人地上車両 (Unmanned Ground Vehicle, UGV) 等で撮影される動画データから大量の画像データを抽出し、まずこの大量の画像データを用いて大域的な特徴を学習させます。
次に、少量の教師画像データを用意して局所的な特徴を追学習させることで、指定する条件に沿ったドメイン的特徴を持つ教師画像データを機械的に大量に自動生成できます(図3)。
一般に、生成画像の良し悪しを判断するのは難しいのですが、知覚類似指標を用いた自動選別を可能としています。

本技術を用いてワインブドウの成育測定における少量の夜間画像から昼間画像の生成データ拡張を行い、様々な物体検出モデルとKeypoint検出モデルで有効性を検証しました。
その結果、物体(BBox)検出タスクで28.7%、部位(Keypoint)検出タスクで13.7%の大幅な精度向上が見込まれることを確認しました。

これにより、十分かつ高品質な教師データの準備や作成に労力を要する農業分野において、教師画像データ準備の労力を抑えられます。
試算では、教師画像データ準備(2,400枚)に要する労働時間を600時間から1時間程へ大幅に削減することが可能になります。
また、異なる時刻や天候、圃場、成長段階などの変化への適用も可能で、作物の成長推定や収量予測など、AIを活用した農業DX発展のさらなる加速が期待できます。
当研究室では、農家の高齢化や減少に対応し、情報科学技術の側面から環境負荷の低減と生産性向上の両立を目指しています。

本研究成果は、Computers and Electronics in Agriculture 誌に掲載予定(先行Web公開)です。

 図1. 農業AI構築のための教師データ作成の困難性

図1.
農業AI構築のための教師データ作成の困難性

 図2. 画像生成AI(条件つき拡散モデル)を用いた新たな生成データ拡張手法

図2.
画像生成AI(条件つき拡散モデル)を用いた新たな生成データ拡張手法

 図3. 指定する条件に沿った教師画像データを機械的かつ大量に自動生成

図3.
指定する条件に沿った教師画像データを機械的かつ大量に自動生成

【論文情報】(先行Web公開日:2024年12月28日,https://doi.org/10.1016/j.compag.2024.109849

掲載誌: Computers and Electronics in Agriculture (Cite Score: 15.3, Impact Factor: 7.7, Q1) *
論文タイトル: D4: Text-guided diffusion model-based domain adaptive data augmentation for vineyard shoot detection
著者: 平原健太郎,中根睦仁,海老沢源,黒田剛士,岩城洋平,内海智仁,野村祐一郎,小池誠,峰野博史

* Computers and Electronics in Agricultureは、農学、園芸学、林学、水産養殖学、畜産学など、農業における問題解決のためのコンピュータ・ハードウェア、ソフトウェア、電子計測器、制御システムの開発と応用の国際的な研究成果をカバーしている学術雑誌です。

※本研究は、JST創発的研究支援事業(JPMJFR201B)の支援を受けて実施されました。
研究課題名: マルチモーダルフェノタイピングによる適応型情報協働栽培手法の確立
研究代表者: 峰野博史(静岡大学 学術院 情報学領域/グリーン科学技術研究所)

グリーンサイエンスカフェ2024 on 静大TV!

今年度のグリーンサイエンスカフェ 静岡大学キャンパスフェスタ・テクノフェスタ編の様子が静大TVで視聴できます。こちらをクリックすると静大TVのページへリンクします。

参加してくださった方々に感謝するとともに来年度は更に盛り上げたいと意気込んでおります。逃してしまった方も是非雰囲気を味わってください。