静岡大学 電子工学研究所  極限デバイス研究部門・ナノデバイス分野 池田・濱﨑研究室

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研究内容・成果

シリコンナノ構造による熱電変換特性の高効率化
【研究目的】 電子の閉じ込め効果やフォノン伝導の変化などナノ構造特有の現象を利用して,シリコンの熱電特性を劇的に向上させる.
シリコンのゼーベック係数におけるサイズ効果の解明
6~100nmまで薄層化したn型SOI基板のトップシリコン層におけるゼーベック係数の測定を行い,キャリア濃度に対するユニバーサルカーブを得た(図1).そのカーブはバルクシリコンの結果と一致しており,極薄膜でもバルクと同等の性能を持つことを示している.また,高不純物濃度領域(3×10^19cm-3以上)においてゼーベック係数の増加が見られ,ピークが観察された.この結果は,高濃度ドープしたシリコンでは,不純物バンドがゼーベック係数に強く影響することを示している.
図1
図1:極薄SOI層のゼーベック係数.データ横の数字はSOI膜厚.
バルクシリコンの測定結果ならびに報告値も併せて記載.

さらにトップシリコン層に外部電圧を印加して,フェルミレベルの制御を試みた.外部電圧によりSOI/BOX界面のバンドが曲がり,ゼーベック係数が変化することを見出した(図2).
図2
図2:シリコンに外部電圧を印加したときのゼーベック係数の変化.

室温付近におけるゼーベック係数のフォノンドラッグ成分について,SiGeの組成依存性をしらべた.キャリアの有効質量と移動度,そしてフォノンの速度と平均自由行程について,SiとGeの物性値を内挿した理論計算値と実験結果とよく一致した.(図3).
この結果は,フォノンドラッグ効果に寄与するフォノン輸送には合金散乱の影響がほとんどないことを示している.
図3
図3:

図1
図1:極薄SOI層のゼーベック係数.データ横の数字はSOI膜厚.
バルクシリコンの測定結果ならびに報告値も併せて記載.

図2
図2:シリコンに外部電圧を印加したときのゼーベック係数の変化.
図3
図3:
【関連論文】
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IEICE Trans. Electron., E-100-C (2017) 482.
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Adv. Mater. Res., 1117 (2015) 86.
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Adv. Mater. Res., 222 (2011) 197.
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