オンライン教育

【1】オンライン教育推進室について


OEDは2018年4月1日、静岡大学の教育オンライン化を支援するために発足しました。情報基盤センター内部組織として本学の情報化を促進します。「オンライン教育」を実現することは、教育の質を高め、学生数増加を実現し、最終的に大学の収益を画期的に増大させます。この結果、さらに教育・研究の質を高めるというポジティブサイクル的な劇的効果を確実に得ることが出来ます。

本学のオンライン教育の特徴は、教職員、学生自身で授業動画、電子教材を簡単に作成することが出来、かつそれらをIoT(Internet Of the Things)情報基盤により世界中に安定して提供できることです。また、最新のICT環境を自在に活用できるよう、クラウドサーバの無償貸出(静大クラウド)、オンライン教育用端末(SUOT)の無償貸出を実現しています。授業動画はマイクロソフト社のパワーポイント(PPT)の標準機能である「記録」を活用することで複雑な操作なしに、短時間で制作可能です。授業動画や電子教材の配信はクラウド上に設置されている「大学教育テレビジョン(SETV)を用いて、容量の制限や配信先数の制限なしに世界中に配信可能です。配信モードは「無制限公開」と「受講者限定」の2つがあり、知的財産権・肖像権の保護を高レベルで実現しています。教員紹介、研究紹介は「静岡大学教員テレビジョン SFTV」にて動画で行っています。静岡大学の様々な活動、および外観は「静岡大学テレビジョン SUTV」にて行っています。これは世界最大規模の大学紹介動画サイトです。 そして静岡大学オンラインの最大の特徴は、以上により受講生は動画により小テスト提出、期末試験を提出できるようになったことです。これにより、従来の通信教育の最大の弱点であった「本人の理解度測定」「本人の認証」をスクーリングなしに完璧に行うことが出来るようになったことです。

以上の活動を推進するために多くのセミナーを開催し様々なサービスの活用方法を実践的に習得いただいています。

【2】室長ごあいさつ


オンライン教育推進室長の井上でございます。本学に限らず、我が国の大学は大学生数の減少という大きな課題に直面しています。2020年には300万人を割り込み、大学定員充足率は100%を大きく割り込みます。海外に目を転じますと、これとは逆の状況であることを知り愕然とします。例えば米国の場合、2016年時点で大学生数は1950万人に達しています。

大学生数300万人の日本と、大学生数1950万人の米国ではどちらが知的水準が高いのかは言うまでもありません。グーの音も出ないくらいの完全な負け状態です。かといって我が国で急に高校新卒者数、および大学進学率を増やすことはできません。このまま何もしなければ、日本の高等教育における知的水準は衰えていくだけ、ということになります。「大学授業料の無償化」、「留学生数増大」などの施策が活発ですが根本的な課題に対しては「焼け石」に水です。根本的な解決は「大学生数の劇的増加」しかありません。それを実現するための唯一の方法が「オンライン教育」の普及と定着です。OEDはこれを徹底的に推進するための組織として発足しました。2022年までの主たる活動は、本学の全教員が自身の担当する科目の50%以上をオンライン化出来る様に推進することです。国のオンライン教育による定員数増加施策整備が整うと期待される2023年以降は、その動きと同期して本学のオンライン学生定員数を増やしていき2027年には2万人を達成することを推進していきます。2037年には学生数5万人を達成し、同時に100億円/年以上の収益増加を達成することを目標にしています。

しかしながら現状では、教職員にとって「反転授業化」「授業のオンライン化」というだけでは推進モチベーションは弱すぎます。そこで、OEDでは「オンライン教育」を推進していただける教職員学生のみなさんに「最新のパソコン=SUOT」を無償提供します。また、2010年から開始しているクラウドサーバの無償提供をさらに推進します。また、無償正式出版をはじめ教材の電子化も強力に推進します。2023年以降は担当するオンライン学生数に応じた報酬の増加も視野に入れます。OEDでは本学の皆様とともに世界最先端の「オンライン教育・研究大学」を実現していければと考えております。よろしくお願いします。

2018年4月1日Director of Online Education Division

井上春樹

【3】OEDの今後の計画


オンライン教育センター、OEC設置とその後の計画について説明いたします。

右図はOEDの役割を示したものです。従来のオンキャンパス教育、研究は現状と同じで、変わりません。OEDは従来の組織と、オンライン学生の中間に位置します。オンライン教育特有の様々な業務を集中して実施します。2027年時点で、100人の教職員で1万人以上の学生を管理することが出来る様になることが望まれます。
右下図に、教職員、およびOEDのアクションプランを示します。
  1. 教員には、今後の5年間で自身が担当する2科目以上をオンライン教育可能にしていただきます。
  2. 6つの学部では、それぞれ年間400名のオンライン学生を受け入れる準備を進めていただきます。
  3. OEDは、授業動画、電子教材制作を支援します。並行して、学務、財務組織と連携しオンライン教育管理・支援体制を確立します。
  4. OED、および大学本部では、2023年より、実オンライン教育運用を行います。
本図で、OED設置後の計画を説明いたします。
2018年から2022年の期間は、FSS, 日本人海外留学支援などの実績を作り、静岡大学のオンライン教育実施能力を実証します。その後、国のオンライン教育整備の進捗に同期し、オンライン教育学位課程を文科省に申請します。認可後、年間2500人に対し、授業配信を開始します。

今から10年後には、オンライン教育学生の授業料収入による収益は年間30億円増加が期待できます。この結果経営状況が劇的に改善されることになります。次に、オンライン学生の確保施策を説明いたします。浜松地元企業、大手企業との連携を積極的に図り、社会人学生の大量入学を実現します。企業が授業料ほか経費のすべてを支払う形が理想です。この先進例として米国のアリゾナ州立大学とスターバックスのプロジェクトが大変有名です。こういった大学と企業、官公庁の素晴らしい関係を築いていきたいものです。

次に、オンライン教育推進が必須な背景を大学経営の角度から分析してみたいと思います。

【4】オンライン教育推進の背景


この図は、オンライン教育推進の背景を示したものです。本学の2016年の収益は187億円、支出は181億円でしたので、6億円の黒字になっています。しかし、10年後の収益は、少子化による授業料収入の激減、交付金の激減により、165億円しか見込めません。従いまして、支出が2016年度と同じであれば16億円以上の赤字になります。以上の前提は最良のケースですので現実的には、はるかに大きな赤字が出る可能性があります。すなわち、経営が破たんするかもしれない、ということになります。
本図は、以上の課題を解決する収益の増加シナリオを示しています。今後は交付金の増大は望めませんので、収益改善の可能性があるのは学生数増加による授業料収入の増加が重要、ということになります。これが、今回提案の背景です。2027年までに、1万人のオンライン学生増加を実現しますと、図の通り収益は195億円になり、2016年より大きくなります。2037年時点で、オンライン学生数が3万人を超えますと、交付金が50%以上減少しても極めて健全な経営が可能になります。この頃になると、多くの大学は淘汰消滅されているはずですので、学生数の確保は容易になっているはずです。学生数が10万人以上の国内最大規模の静岡大学が実現しているかもしれません。

【5】先進事例の紹介


右図は、以上のお話が決して荒唐無稽ではないことを説明するためのものです。リーマンショックなどにより米国の大学の経営は急激に悪化し、2011年ころから生き残りをかけた努力が、全大学でなされています。この状況は2027年の日本の大学の状況に極めて近いといわれています。この例は、アリゾナ州立大学のオンライン教育による超攻撃的大学経営を説明するものです。2016年、学長が、2020年にはオンライン学生数を10万人以上にする、という目標値を発表し全米を驚かせました。
注目すべきは収益の急増です。この目標を達成すると2020年には約350億円以上の増収となります。これが実現すれば米国で最大規模、最高利益の大学になると考えられます。企業の話ではありません。静岡大学と同じ公立大学の話なのです。
右図は、アリゾナ州立大学の劇的改革の内容を説明したものです。最も重要なのは最後の部分です。「実際にオンライン授業を行った教員のほぼ100%が、対面授業の教材の改善にもつながった、学生からの評価が向上した」という点です。つまり、オンライン教育を推進することは、現状の教育水準を大きく向上させることになる、という点です。
さらに凄いのは大手コーヒーチェーンの米スターバックス経営者の先進的姿勢です。「従業員であれば誰でも無償で高等教育を受けることが出来るようにした」というのは歴史上初めてのことではないでしょうか。「企業は何故利益向上を目指すのか?」という問いに満点の形で応えている稀有なお話です。これはおとぎ話では無く、現実です。できるだけ早く日本にもこういった経営者が数多くあらわれることを希求してやみません。
右図は、全米でのオンライン教育の拡大を示しています。
現時点で、オンライン科目受講者数は全体の1/4を超え、1/3に迫っていることが分かります。反転授業やオンデマンド授業は、ただの流行りではないことが分かります。大学の生き残りのための最重要戦略になっているのです。

 

右下図は、米国、日本のオンライン教育の動向と予測です。

  1. 2015年時点で、米国の大学生数は1950万人です。
  2. このうち28.7%がオンライン科目受講生です。
  3. 2015年の日本の大学生数は、わずか302万人です。
  4. つまり、人口比率を考慮して正規化しても日本の学生数は、米国の3分の1以下ということです。
  5. すなわち、大学生数で評価されることが多い高等教育の知的水準は開くばかりです。
  6. これに対し、オンライン教育の積極的展開は極めて有効です。
  7. これにより2030年ころの日本の大学生数は1000万人を超える規模になり、知的水準の劇的向上が期待されます。