研究内容

針金を使って閉じた曲線をつくり石鹸水をつけると、極小曲面と呼ばれる面積最小の膜を形成します。この極小曲面は自然界においてよく見られます。極小曲面では曲面上のあらゆる点で平均曲率が0となっています。

一部の脂質や界面活性剤は水の存在下で自己組織化し、図のようなキュービック相と呼ばれる三次元的に二分子膜がつながった無限周期極小曲面を形成します。無限周期とあるように、結晶のように単位構造 をくりかえします。これまでにGyroid型、Diamond型、Primitive型の三種類のキュービック相の存在が知られています。また二分子膜で分割される空間には水が存在し、図の青と黄のパイプで示されるような互いに交差しない水路を形成します。

脂質や界面活性剤は両親媒性分子と呼ばれ一分子に疎水領域と親水領域を持ちます。この両親媒性分子の二分子膜は一方の領域を内側、他方の領域を外側にして自己組織化したものです。このため実際の二分子膜は厚みを持ちます。キュービック相では二分子膜と無限周期極小曲面が一致することはありません。それではキュービック相の二分子膜はどのような構造を持っているのでしょうか?

私の研究室では、研究室で開発した脂質キュービック相の単結晶化法とX線結晶構造解析法を用いて、キュービック相の構造を調べています。