1998年から2000年にかけて、全学の3年生を対象とした共通科目として開設されていた「子ども論」というオムニバスの授業で当時「援助交際」と呼ばれていた子どもへの買春問題を取り上げた。以下に再掲するのはその際の教材として旧ホームページに掲載した文章である(1998年執筆)。一つ目は子ども論「援助交際問題を考える」への導入。2つ目は援助交際問題を考える前提として踏まえるべき大人の買売春問題に関する考察と文献リストである。論文として公刊するために書いたものではないので、普通のブログへの書き込みのような書きぶりだがご容赦いただきたい。また、当時はまだまだ勉強不足で安易に「身体を売る」といった表現を使ってしまっているが、当時においても「身体」を売ることができるとは考えておらず、一定時間身体を使ったサービスを提供するものと理解していたことについては補足しておきたい。
「性支配=暴力禁止法」に関する見解については基本的な点「あらゆる性的関係における性暴力を法的制裁の対象とする」という点では変化はない。「 男性主義的な性の多元的基準のもとで区別されていた妻に対する性的行為と『売春』従事女性 に対する性的行為との区別自体が意義を失う」という記述については、婚姻という法的に保護された関係の内側であれ外側であれ、暴力に対する法的規制は平等に及ぶべきだという点において今も変化はない。性業自体に対する法的規制をどうするかという点については、従事女性の健康や安全など人権保障の観点からの法的保護のあり方を基礎に考えるべきだとのみ記しておくこととしたい。
なお、現時点でも旧稿の結論、つまり以下を目指すこと自体については基本的に変わらない。
「性をめぐる自由と権利をすべての人が当たり前に享受するための技法は何か。どうしようも ない自分のセクシャリティから目を背けず、すべての人の自由な生き方を想像/創造していく こと。」
1.子ども論「援助交際問題を考える」オリエンテーション
2.買売春を考える
買売春問題を考える