「アーク放電の消弧に関連する数値解析」

アーク放電の主要部であるアーク柱はプラズマ状態です。

このアークプラズマの内部状態を知ることは放電現象を正確に理解するために重要です。しかし、その状態を決めるパラメータのほとんどは実測できないため計算によって求める必要があます。現在本研究室では、アークプラズマの構成成分と温度を設定すると、その電気伝導率や熱伝導率などの輸送係数を計算できるところまで実現しました。下図は電気伝導率の温度依存性の計算結果です。

 アークプラズマの構成成分によってこれらの特性は変化します。本研究室の研究としては、アークプラズマの組成の変化によるこれらの特性の計算を継続的に実施する予定です。今後可能であればこれまでの成果をさにら発展させ、最終的には実験結果として観察される現象をシミュレーションによって説明できるようにすることを目指しています。

 また、関連する研究として、空気の流れに関する数値シミュレーションの研究をしています。アーク放電が発生する電気接点周辺の気流は、アーク放電の消弧特性に大きく影響します。高速の空気をアーク放電に吹き付けることで速く消弧させることができます。接点やアーク放電周辺の気流分布を実測できれば、アーク放電との関係を正確に理解できますが、数mmから数cm程度の寸法のアーク放電周辺の気流分布を正確に測定する手法は存在しません。
 そこで数値シミュレーションによる解析が重要な役割を果たします。これまでの研究では、電気接点周辺の気流を数値シミュレーションによって計算しました。実測だけでは不明だった気流の分布を可視化し、アーク放電の消弧特性に関する実験結果を数値シミュレーションで得られた結果によって説明することができました。以下の図は、図の上方にあるノズルの先端から接点間に空気を吹き付けた時の空気の流速分布を示しています。

今後は、新たな消弧手法に対応した気流のシミュレーションを実施する予定です。

『高性能なパソコン(CPU32コア、メインメモリ64GB)を思う存分使うことができます。』

「研究テーマの紹介」に戻る