自己復号型ランダムグリッド
ランダムパターンに復号用のランダムパターンを重ね合わせることで、秘密画像が復号される視覚暗号技術としてランダムグリッド(Random grids)[1]が提案されています。 復号用のランダムパターンを透明フィルムなどに印刷することで、ソフトウェアによる復号演算を行うことなく物理的に秘密画像の復号が可能です。 本研究では、1枚のランダムグリッドから秘密画像の復号を可能にすることで、ランダムグリッドの潜像技術としての拡張を行います。
提案手法は、1枚のランダムグリッドを複製して、位置をずらして重ね合わせることで秘密画像を復号することができます。 我々は、これを自己復号型ランダムグリッドと呼んでいます。 自己復号型ランダムグリッドでは、複製する枚数や重ね合わせ位置(復号移動量)が暗号鍵となります。 すなわち、自己復号型ランダムグリッドは、その一部を復号するための暗号鍵を、自身の別の位置に有するランダムグリッドです。 暗号としての安全性は低下しますが、復号用のランダムパターンを事前に準備する必要がなくなるため、簡便な復号を利用した応用が期待されます。
- O. Kafri and E. Keren: “Encryption of pictures and shapes by random grids,” Optics Letters, 12, 6, pp. 377−379, (1987).