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自己復号型ランダムグリッドのスマートフォンを用いた復号

自己復号型ランダムグリッドのスマートフォンを用いた復号

自己復号型ランダムグリッドは従来のランダムグリッドとは異なり、復号用のランダムパターンをあらかじめ準備する必要はなく、単一のランダムグリッドから秘密画像を復号することが可能です。 そのためスマートフォンなどのカメラで自己復号型ランダムグリッドを撮影し、画像処理によりランダムグリッドの複製、重ね合わせ演算を行うことで復号することが可能です。

自己復号型ランダムグリッドを復号するためのスマートフォン用アプリケーションを作成しました。 復号用アプリケーションではカメラで取得した画像を複製し、2値化処理後、位置をずらして排他的論理和演算による重ね合わせを行うことで復号します。 暗号化および復号に排他的論理和演算を用いることで、復号するときにより良好な復号結果が得られます。 このとき位置をずらす量(復号移動量)は生成時設定した値を、あらかじめ復号用アプリケーション内で設定しています。 復号結果はリアルタイムにスマートフォンのモニタに表示されます。

スマートフォンを用いて復号した結果を示します。 カメラで取得した画像中のランダムグリッドを構成する画素のサイズは、撮影距離によって変化します。 そのためスマートフォンの傾きを調整し、自己復号型ランダムグリッドとの距離を適切な位置に設定したときに、良好な復号結果が表示されています。 また、スマートフォンを平行移動することで、全体の情報を確認することができます。

自己復号型ランダムグリッドでは暗号鍵を内包しているため、その暗号強度は複製枚数や復号移動量に依存し、従来のランダムグリッドと比較すると非常に弱いです。 しかしながら、スマートフォンを用いて復号する場合、撮影距離やカメラの傾き等を調整する必要があるため、復号移動量等のパラメータが既知でない場合、手動での復号はほぼ不可能であると考えられます。

我々は暗号化手法というよりはむしろ情報提示手法としての利用を考えており、情報を秘匿することで、その情報の価値を高めることが可能であると考えています。 さらに提案手法は、言わば面倒臭い二次元バーコードであり、情報を入手するためには手動による復号操作を必要とします。 人が操作することで秘密の情報が可視化される、このようなインタラクションを通じて、入手した情報への主観的な価値の向上が期待できます。