(2017年~)
宇宙機はロケットで輸送されるため,①ロケットのフェアリングに入ること②燃料のコストを下げるために軽量であること,が求められます.そのため,展開構造物が多用されます.硬いパドルやトラスなどの展開構造物も多いですが,より軽量で大型な宇宙構造物を構築するためには,膜やテザーなどの柔軟な部材を用いた「ゴッサマー構造物」が有用です.ゴッサマー構造のアプリケーションとしては,宇宙エレベータ,ソーラーセイル,スターシェード,SSPS,伸展ブーム,月面基地用建築物などが研究・開発されています.構造の特徴としては,超軽量,軽量高剛性,超大型,大型高精度といった分類ができます.本研究では,軽量高剛性で立体モジュラー構造なども構築可能な展開構造物として,円筒ねじり折りのJackson Cubeという折紙に基づく,立方体展開構造物を提案しています.
- 有田祥子,福田一樹,大関幸也,”Jackson Cube を利用した立方体展開宇宙構造物の開発”, 折紙の科学,日本折紙学会,第7号,No,1,pp1-8, 2019.
- S., Arita, I., Fukuta, Y., Yamagiwa and Y., Miyazaki, A Proposal of New Deployable Space Structure Applying Buckling, AIAA SciTech Forum, 449-SD-16, AIAA-2018-1952, pp.1-10, Jan, 2018, Florida. DOI: https://arc.aiaa.org/doi/abs/10.2514/6.2018-1952
(2020 年~)
上記のような展開構造物は平面を有するため,薄膜を貼り付けて膜展開ミッションに利用することが考えられます.そこで,薄膜印刷回路(FPC)を搭載することで可能となる宇宙ミッションを検討しながら,FPC構造に要求される検討課題を整理,検証する研究を進めています.現在の研究ではFPC電磁コイルを用い,プラズマ抗力の利用や無線電力伝送をミッションとして様々な解析を行い,薄膜コイルの性能,変形がミッションに与える影響,断線回避方法,立方体モジュールの配置パターンや構造要求などを調査しています.
- 有田祥子,下田裕介,後藤誠也,薄膜回路を搭載した展開折紙構造の検討,Dynamics and Design Conference 2021,403,オンライン開催,2021年9月13-17日
- Shoko Arita, Yusuke Shimoda, Kazunari Toda and Yoshiki Yamagiwa, Initial Study on Mission of Cubic Deployable Structure with Thin Membrane Circuit, AIAA SciTech Forum, AIAA- 2021-1705, pp.1-10, Jan, 2021, Online. https://doi.org/10.2514/6.2021-1705