背景
全国的な原子力人材育成において、複数の機関が連携してコンソーシアムを形成し、共通基盤的な教育機能を補い合う中長期的な取組みが進められている。しかし、現在のところ、この取組みでは、理系教員養成系学生や現職教員への原子力・放射線教育はカバーされていない。先の学習指導要領の改訂により学校教育の場に放射線教育が取り入れられ、総合的学習においてエネルギー・環境問題や持続可能な社会の構築(SDGs)への取組みも導入されている。そのため、原子力・放射線を正しく理解し、国民的な原子力・放射線リテラシーの向上に資する優秀な教育者の確保が、教育現場における喫緊の課題となっている。
目的
本事業では、エネルギー・環境問題に知的基盤をもった理系教員養成系学生や現職教員を対象に重点的に教育を行い、グローバルな視点で原子力のメリット・デメリットを理解し、かつ原子力・放射線に関するリテラシーの高い教育者を育成することを目的とします。本プログラムは、以下のような点で既存の原子力教育とは一線を画すものとなります。まず、能動的な学習を促進させるためのSTEAM教育を活用した課題解決型の実習プログラムを導入し、それを国内の教員養成系大学で共有することで、原子力のメリット・デメリットや役割について考えることができる教員養成のための教育を行います。それに加え、ANECに参加している大学教員と連携して、エネルギー・環境問題・原子力についての深い教育を行うことで原子力・放射線リテラシーを向上させます。さらに、原子力関連施設の訪問と現場の職員とのコミュニケーションを通して、原子力の仕組みを肌感覚として理解し、自分事として捉える機会を提供します。これらの複合的・重層的な学習を通して身に着けた知識・技能を用いて、将来教員をめざす学生自らがSTEAM教育手法を活用した「教育プログラム(学習指導案)」を構築・提案し、それを他の大学学生や現職教員と共有します。本プログラム終了後に受講生自身が教育現場で実践することができる学習指導案を実践できるようサポートを行います。