Q&A

Q『力の統一』のスライドで、横軸は長さですか?

A エネルギースケール(ギガ電子ボルト)に対応します。大統一スケールである10の30乗分の1cmは、エネルギースケールに換算するとおよそ10の16乗ギガ電子ボルトに相当します。


Q地球上で光を発すると、光は直進しますか?

A 地球の重力によって曲がりますが、地球の重力が弱いため観測するのは難しいです。実際に、太陽の重力によって光が曲がる効果(重力レンズ効果)が観測されています。


LHCにおける実験で、実際に達しているエネルギースケールは?ILCだとストリングは観測できる?

A 現在、LHCで達しているエネルギースケールは約10TeV(1万GeV)です。これは、長さに換算すると10の18乗分の1cmで、ストリングの広がりは10の32乗分の1cm程度と考えられているのでLHCでは見えません。ILCにおいて想定されるエネルギースケールでも、ストリングが観測されると期待されるエネルギースケールにはまだ届きません。


ブラックホールの中心における特異点(曲率が無限大の点)の問題はどうするのか?

A 重力の量子論によって解消されると考えられています。


Q ホログラフィー原理で、5次元と4次元の理論が対応しますが、さらにその4次元の理論と3次元の理論が対応することはあるのか?

A ホログラフィー原理とは、量子重力理論が時空の境界上の一般には重力ではない理論で記述されるという考え方です。この場合に考えている4次元理論は重力理論ではないので、さらに3次元の理論になるとは一般には考えられません。


Q 超弦理論は、実験でどのように検証すればいいのか?

A 将来観測技術が進めば、宇宙初期に放出された重力波が観測される可能性があります。超弦理論が、宇宙初期の重力波のもつ性質について予言できたとすると、観測と比較することで超弦理論を検証することができます。


Q 宇宙が10次元だとすると、行列模型で空間の9次元のうち3次元だけが膨張するのはなぜか?

A 時空を表す行列の積が交換しないことをもとに、定性的な説明を与えることができます。


特殊相対性理論のローレンツ変換の式に、ガリレイ変換に現れない根号√ が現れるのはなぜか?

光の速さがどの観測者にとっても同じであること((ct’)2-(x’)2 = (ct)2-(x)2)を用いると、絶対時間という概念がなくなり、時間と空間が混じる(ローレンツ変換の)式が自然に導かれます。


Q 光子は、質量がないのに重力を受けるのはなぜか?

A 一般相対性理論によると、エネルギー(重力の源)の存在により時空が曲げられると考えることができます。光はその曲がった時空に沿って進むので、質量はなくても重力の影響を受けることになります。


Q 「カルツァ・クライン理論」の図で、普通に我々の世界で見れば、筒は片側の穴しか見えない(両側の穴は同時に見えない)はずなのに、この筒は両側の穴が見えている。4次元から5次元、6次元等に次元が上がっていけば、筒の両側の穴も同時に見えるのか?

A 円筒上にいる人にとっては、円筒の穴は穴として認識できないので、穴はもともと見えないことになります。仮に円筒が高次元空間に埋め込まれているとしても、円筒は無限に長いか、端と端がくっついて境界がない場合があるので、端は見えないことになります。