野菜園芸学研究室では、手間をかけずにおいしい野菜を安定生産するための現場に役立つ技術を開発するための研究を行っています。
1)手間を掛けないで儲かる“自動化、省力化”栽培に関する研究
養液栽培(土の代わりに有機・無機培地を使い、肥料成分を含んだ培養液を与えて栽培する技術)では、潅水や施肥などの管理が自動制御できるため、農作業の省力化が可能となりました。これは、従来人間が植物の生育状況にあわせて経験的に行ってきた手作業を、コンピュータなどの制御装置にゆだねることを意味しています。そのためにも“植物栽培ロボットの知能”を養成するための研究が重要で、作物の要求に応じた精密な管理を行うことが、おいしく、健康にいい野菜を安定生産することにつながります。
手間をかけないで儲かる自動化栽培の実証試験 | LEDを利用した作物生産に関する研究 |
2)未来の社会のための“環境にやさしい農業”に関する研究
地球温暖化などの環境問題が世界的なレベルで深刻化している今、農業生産の現場においてもそれらを無視することはできません。養液栽培では植物の栄養となる肥料を点滴潅水などにより与えますが、吸収されずに残った肥料分はそのまま土壌や地下水に排出されることもあるため、環境汚染防止の観点からゼロエミッション型の栽培システムの開発にも取り組んでいます。
また、堆肥となる原料も家畜の排泄物ばかりでなく、家庭ごみや食品工場からでる廃棄物など様々な原料が利用されるようになっています。そこで、そのような堆肥の適切な利用法なども検討しています。
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3)高品質野菜生産に関する研究
消費者による食や健康に対する関心は高く、“おいしい”、“安全・安心”に加え、“健康にいい”などを求めるようになりました。養液栽培システムの養分管理を的確に行うことができるという利点を生かし養液栽培野菜の品質向上を目指した研究にも取り組んでいます。
4)異分野技術を利用した先進栽培技術の確立
土を使わない栽培が可能になると、場所を選ばずに生産することが可能になります。その代表的な例が植物工場です。植物工場では様々な技術を結集して作物の生産性を最大限に高めるための技術開発が必要となります。これまで農業に関心のなかった企業も、農業現場への技術移転とその利用を検討しています。そんな企業を応援するため、生産現場への普及を目指した異分野技術の利用法についても研究しています。