研究内容

私たちの研究室では、有機分子、高分子、金属ナノ粒子の光科学現象及び光工学応用について研究しています。通常、光を物質に照射すると、照射した波長の光が放出されます。ところが、強い光を照射すると、入射した波長の2分の1、3分の1、・・・を持つ光も発生します。これを非線形光学現象と言います。

非線形光学というと、一見特殊な現象のように思われるかもしれませんが、意外にも私たちの身の回りで使われています。もっとも代表的なものは緑色のレーザーポインターです。このレーザーポインターはもともと人間の眼では見えない赤外線波長の光を出しているのですが、非線形光学効果によって人間の眼に見える可視光に変換しています。インターネットを始めとする光情報システムの基盤技術の一つである光スイッチでも電気光学効果と言って一種の非線形光学効果を利用しています。

非線形光学効果は長らく波長変換技術に利用されてきましたが、生体や材料内部の微構造で非線形光学効果が生じることが明らかとなり、新しい高性能顕微鏡技術等への展開が切り開かれています。通常、非線形光学効果は微弱な信号しか発生しませんが、私たちは長年の研究で培った微弱信号の検出技術を活かした新しい光計測技術の開発にも挑戦しています。