当研究室について

1)カイコを用いたウイルス様粒子(VLP)の効率的発現とワクチンとしての応用(図1)
 VLPはウイルス構造タンパク質により形成されたウイルスと同じ形状の粒子である。VLPはウイルスと同様の形態を有しており、宿主に対してウイルス進入時と同じ免疫反応を誘導することが可能である。ウイルスとは違い、自身の核酸を持たないため感染の恐れがありません。このVLPをカイコを用いて効率的にかつ大量に調製して、ワクチンとして利用することを考えています。現在は、下記の2つのテーマで研究を進めています。
 ①ブタロタウイルスワクチン開発
 ②マラリアやデング熱予防用VLPワクチン開発
図1 カイコを用いたウイルス様粒子(VLP)の効率的発現とワクチンとしての応用(クリックすると拡大します)
2)糸状菌Ashbya gossypiiによるリボフラビン(ビタミンB2)生産に関する研究(図2)
 糸状菌Ashbya gossypiiは綿花の病原菌として単離された微生物であり、リボフラビン(ビタミンB2)を生産する。工業的なリボフラビン生産に利用されており、多くのリボフラビン過剰生産変異株も単離されている。しかし、なぜリボフラビンを生産するのかその理由が解明されていない。その理由を解明することを目的とし、その解明によりさらなるリボフラビン過剰生産株の単離や、リボフラビンの新たな機能の発見を目指す。
図2 糸状菌Ashbya gossypiiによるリボフラビン(ビタミンB2)生産に関する研究(クリックすると拡大します)
3)サナギタケCordyceps militarisの初期感染に関する研究(図3)
 サナギタケ(Cordyceps militaris)は冬虫夏草として知られており、カイコ蛹から生えるキノコとして知られている。その子実体には様々な生理活性物質が含まれることから、漢方薬やサプルメントとして利用されている。他の昆虫病原糸状菌に比べ、C. militarisの昆虫表面からの感染力が低い。この疑問を解明して、まだ解明されていないC. militarisの昆虫への感染機構を明らかにする。これが達成されれば、C. militaris子実体の大量生産法確立につながる。
図3 サナギタケCordyceps militarisの初期感染に関する研究(クリックすると拡大します)