当研究室について

【研究室の目指すもの】

「土壌微生物を利用した持続可能型農業への貢献」を目指し、植物生育促進と環境負荷低減を両立させる土づくりのための研究を行っています。特に、私たちは窒素循環に関わる微生物に着目しています。窒素は作物生産に欠かすことのできない養分のため、膨大な量の窒素肥料が農地に投入されています。この結果、土壌中の微生物の活性が高まり、余分な窒素は微生物の働きにより温室効果とオゾン層破壊作用をもつ一酸化二窒素ガス(N2O)や、地下水汚染の原因となる硝酸イオン(NO3)に変換されて放出されます。どのような土壌管理によりどのような微生物が優勢となり、どのような機能を果たすのか、微生物群集構造解析などの微生物生態学の方法を駆使して明らかにすることで、適切な土壌管理の在り方を評価し、また有用微生物の利用法を確立していきます。

【具体的な取り組み】

1. 茶園土壌に生息する微生物に関する研究
伝統農法「茶草場農法」の土壌微生物多様性と機能への影響
茶園土壌から分離したN2O生成糸状菌に関する研究
(*N2O:温室効果ガスの一種)
2. 植物根圏のN2O吸収現象の解明
レッドクローバー根圏におけるN2O還元微生物の解析
3. 堆肥化促進微生物資材に関する研究(企業との共同研究)
堆肥化促進,消臭,抗菌効果の検証
複合微生物資材中の各菌株の動態解析

写真 茶園のうね間に茶草が施用されている様子(掛川市)