【第63回】「最近思うこと」

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投稿者:山本 仁(昭和52年 人文学部法律学科卒)

静岡大学を卒業して、37年。早いもので現役生活もあと1年を切った。大阪市役所に入庁し、30代後半にはドイツのデュッセルドルフ大阪市事務所に赴任もしたが、主に教育行政、人事畑を歩み、昨年から環境行政に携わっている。

大阪市は、昭和40年代の高度経済成長期には工場のばい煙や自動車の排気ガスで大阪城の天守閣が煙で見えないほど大気汚染がひどく、地下水のくみ上げによる地盤沈下や水質汚濁、土壌汚染、廃棄物処理問題など都市としての成長の過程で様々な環境問題を経験してきたが、その都度、課題を解決してきた。しかし、近年の環境問題はさらに複雑化し、ヒートアイランド対策や地球温暖化対策、PM2.5への対応や生物多様性の保全など、地球規模の課題が山積している。さらに、東日本大震災以降、市民が健康で快適な生活を営むことができるよう安定的な電力供給システムの構築のためエネルギー問題にも積極的な関与が求められている。

このように生活環境から地球環境まで幅の広い環境行政を担っているわけであるが、近年の環境問題は公害対策と異なり原因を特定し規制を行って解決するものではなく、さまざまな要素が複合して発生するもので、解決には市民や事業者の方々の環境に配慮した取組や協力が必須であると共にグローバルな取組も必要となる。

従って時間はかかるが、学校での環境教育や地域での環境啓発に大いに取り組んでいかねばならないと思っている。

大阪市は260万市民、21万の事業所を抱える大都市だが、市内には「水の都」といわれる33河川や大阪湾を持ち、気軽に水辺に親しむことができる。街に緑は少ないと言われるが、大規模で美しい緑地もある。このような豊かな環境を次世代に残していきたいという思いを大切にし、都会であっても季節の移ろいを身近な自然から感じることのできる住みやすい街であり続けられるように、微力ながら、残された時間を捧げたい。