【第64回】

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投稿者:吉澤 淳(昭和30年 工学部工業化学科卒業,技術士)

2014年度定期総会が終了した。日本技術士会静岡県支部が生まれた。

論文を提出しこれで間違いなく卒業と、早速友人と映画館浸りが始まったが、どうも教室の空気がひそひそと険しい。会社探しである。慌てての就活は思うように進むはずがない。下宿に戻っては赤玉ポートワインで気持ちを落ち着け、翌日また飛び出していった。気が付けば互いの後先はあってもそれぞれに社会人として散って行った。静大工学部を卒業したのである。

町中の小さな会社である。事務所の隅に実験室もどきの部屋を作り、接着テープの研究を始めた。従業員達が窓越しに物見高く覗いて行った。苦しく楽しい10年間であったが、合板製造用リーリングテープは国内外に使用された。新工場も完成し、海外への出張が多くなった。コーンスターチ・アクリル酸共重合体として特許になっている。

此の頃、技術士の存在を知り、プロフェショナル・エンジニアになれば何処でも、誰にでも通用すると思った。難度の高い試験であり、事前テストを受けた。1回目は「とにかくデーターがない」であった。2回目は「驚くほどのOK」であり、本試験は合挌した。

技術士登録は会社許可が必要であり、技術士制度の利点を列挙して応えた。名称は相手に信頼感を与える・技術情報を幅広く得る・種々な専門分野と繋がりを持つ・「FIDEK」で海外での仕事が便利となる・政府、公共機関の仕事への参加などである。許可を得て昭和50年に登録証が届いた。会社は順調に拡大した。

技術士としての力が次第に大きくなり、新たな会社へ飛び出していった。1社目は18年、2社目は5年と無我夢中で働いた。

技術士事務所の開設。韓国、台湾、中国と現場100回のアドバイザーとして歩き回っている。この上は生涯現役の未来像を作り上げていきたい。