投稿者: 杉原 啓介(昭和59年 人文学部経済学科卒)
私は、1979年に静岡大学人文学部経済学科に入学、1年留年をして1984年に卒業し、公務員になって平凡な日々を過ごしています。
学生時代は勉学に励むことも特にありませんでしたが、国民経済計算論(土居英二先生)のゼミだけはある程度、真面目に出席していました。当時、土居先生はゼミを持たれたばかりで(私が3期生)、学生との垣根がない方で、ゼミ生は多大な迷惑をかけていました。
昼にはめったに行かない山頂の人文棟に夜間になると出没し、灯りがついている5階の土居先生の部屋に向かって、「遊びに行きましょう。」と声をかけ、研究の邪魔をしたことも度々で、また、当時の片山の教員宿舎にゼミ生がお邪魔することもあり、被害は奥様にも及んでいました。
私は何の目標もなく就職もせずに留年したのですが、ゼミには大学の先生になるといって留年した伊藤国彦君(現兵庫県立大学教授)もいて(当時、あまり勉学に励んでいたとは思えなかったのですが)、彼が、一時期、静岡に残って塾の講師になると言い出したことがありました。その時、土居先生は伊藤君(私も同行)を伴い大阪・兵庫(武庫之荘、加古川)を訪れ、伊藤君の関西での勉学の場を整えることに尽力される一方で、伊藤君を関西に送るための費用のカンパを私に指示し、一部の友人の協力を得て、無事、伊藤君を関西に旅立たせました。
土居先生は、私が就職した後も、ランニング姿で私の職場を訪れ不審がられ、私を人文学部同窓会(現岳陵会)に紹介したので同窓会の世話をするようにと指示し、それが、私が現在まで30数年間にわたり、同窓会と関わるきっかけになりました。また、私の結婚の際の仲人になっていただき、先生のイギリス留学中にはイギリスに来るようにと招かれケンブリッジ大学を案内していただきました。
土居先生の依頼で人文棟の大会議室で学生の皆様に話をさせていただいたこともあり、同窓会の関係でも連携講座を含め2回ほど講義をするなど、卒業してからも何らかの形で静岡大学と関わりを持つことができています。先生は今では退官されましたが、今でも2、3年に1度程度お会いすることができており、楽しみにしています。
小学校時代から静岡の地を離れたことがなく、狭い生活圏での人生を歩んでいますが、静岡大学で過ごしたおかげで、素晴らしい先生をはじめ、現在の生活を豊かにしてくれる方々と出会えたことを感謝しています。
今の学生の皆様に対してのお願いです。2年程前、当時の土居ゼミの先輩(私が学生当時に下僕のようにお仕えした先輩で、卒業時にもかなりお世話をした方)が静岡に来た際、アテンドするよう命令があり、土居先生、他の先輩・同期・後輩で集まり会食をする機会(写真参照)を設けました。休暇も取ったため、空いている時間で静岡の案内もしようとしたのですが、先輩は学生時代に静岡の名所・旧跡を全く訪れたことがないことが判明しました。他の地方の方に自慢できるほどの観光名所があるわけではありませんが、静岡県以外の出身の方は、静岡県にいる機会に、社会人になってから友人や家族と静岡を訪れた際、案内できる程度は県内を回ってみてください。
最後に、私は、あまり真面目な学生ではなかったのですが、学生時代にもっと勉学に励んでいればよかったと思うことが度々ありました。社会人になっても勉強して知識を増やして困難を乗り切らなければならない事態は必ず訪れます。その時に頼りになることは、困難をどうやって乗り切れたかの経験・学生の時の勉学の経験です。知識は忘れてしまうかもしれませんが、勉学する方法は経験として残ります。学生の皆様には、ぜひ青春をエンジョイするだけでなく、情熱をもって学問を愛し、勉学に励むことをお勧めします。