更新履歴
2021.5.13 9. データの読み込みを追加
2019.3.5 公開開始
プローブ顕微鏡用のフリーの解析ソフトGwydionを使いませんか?(作成中)
Gwydionは国内外のプローブ顕微鏡(AFMやSTM)のデータ解析を行えるフリーの解析ソフトです。取り扱えるデータ形式はテキストファイルから、プローブ顕微鏡を製造している多くのメーカーまで及んでいます(対応表を見る)。このソフトをご自身や研究室のPCにインストールすることで、生データを研究室で処理できるようになります。
センターで共用しているプローブ顕微鏡については汎用AFM (SPI-3800)とSPM (JSPM-5200)は生データの読み込みに対応しており、簡易AFM (VN-8010)は一度アスキーデータに出力することで解析が可能になります。
目次
1.ダウンロードとインストール
2. 実行すると下のウインドウが開きます。
3.データの読み込み
4.データを読み込んだらまずやっておきたい処理
4.1 マスクを使ってより正確な補正をする
5. 表示色の変更
5.1 表示色の微調整
6. 表示されているAFM像を画像として保存する
7. ラインプロファイルを表示させ、画像やCSV形式で保存する
8. 測定データ内の測定条件等を表示させる。
以下本文-------------------
1. ダウンロードとインストール
GwyddionはGwiddionのWebサイトの左のメニューのDOWNLOADからダウンロードできます。ダウンロードしたファイルを実行するとPCにGwyddionがインストールされます。
2.起動
起動すると下のウインドウが開きます。この説明ではこのウインドウをツールボックスと呼びます。
3.データの読み込み
FileメニューからOpenを選択すると下のウインドウが開きます。下のFiletype欄でAutomaticaly detectedが選択されていることを確認して(選択されていないないなら選択する)、装置から持ってきた生データが置かれているフォルダやドライブに移動します。そうすると中央にファイルリストが表示されます。Gwyddionが読み込める形式のファイルであればファイルリストの右の欄にデータがプレビューされます。データが極端に傾斜していてプレビューがはっきりしないときにはプレビュー欄の下にある簡易フィルタを選択するとプレビュー時に適当なフィルタがかかり見やすくなります。
4.データをよみこんだらまずやっておきたい処理
データを読み込んだら無条件に下の2つのボタンをおして、データ補正してしまったほうが良いと思います。
Level data by mean plane subtraction
試料の傾きによって生じた面としての単調な傾きを補正し、水平面にする。
※ステップや段差がある場合は、結果がやや怪しくなる。その対策は後述する。
Align rows using various methods
走査ラインごとに高さが微妙に異なったために現れているデータの横じまを補正する。
4.1 マスクを使ってより正確な補正をする
極端に高い点があるデータを4.データをよみこんだらまずやっておきたい処理の方法で補正すると、極端に高い点の左右に陰ができることがあります。そのような問題は、補正を狂わせる高い点をマスク機能をつかって除外すると解決できます。
Edit maskを押して、下のウインドウを開きます。を押してから図中の補正からマスクして除外したい領域(極端すぎる領域)をドラッグして囲みます。この除外領域はいくつでも設定できます。設定し終わったら やをおします。そうするとマスクした領域は補正のための計算から除外される(補正は周囲と同じ条件でされます)ので、何もしないよりも正確な画像になります。
5. 表示色の変更
読み込んだ直後の表示色はモノクロです。いけないわけではありませんが、ちょっと物足りないのでAFM像で使われるありがちな配色にします。
イメージ右横にある縦長のグラデーションのチャートを右クリックします。そうすると変更できる配色のサンプルがでてきますので、好きな配色を選択します。個人的にはGoldやRustあたりがAFM像っぽいのではないかと思います。GoldやRustが見つからない場合はリストの下のMoreをクリックしてみてください。
5.1 表示色の微調整
データ中にノイズなどが原因で極端に高い点や低い点が存在すると、そういうところも含めてグラデーションをかけようとするので、結果として画像の大半が真っ黒または真っ白という場合もあります。そのときには表示色の調整をしたほうが良いと思います。
まずツールボックス内のstretch color range to part dataをおします。そうすると下のウインドウが開きます。下のウインドウ中のヒストグラムはデータの中の高さ(値)のヒストグラムです。ウインドウ内のを押すと、データの一番高い数値から一番低い数値までの間にグラデーションを設定します。これがファイル読み込み時にも行われるデフォルト動作です。微調整につかうのは ボタンです。このボタンを押した後、ヒストグラム内でドラッグすると、そのドラッグした範囲にだけグラデーションが設定されます。これを使うと、データの中で、自分が注目したい範囲にグラデーションを集中させ、高すぎたり低すぎて注目しないデータをサチらせておくことができます。
6. 表示されているAFM像を画像として保存する
ツールボックスの中のFileメニューを選択する。Save asで下のウインドウが開くので保存場所、ファイルネーム、画像フォーマットを選択するなり入力してからSaveボタンを押す。
※ファイル名には画像フォーマットに対応した拡張子を自分で付けてください。たとえばファイルネーム欄にtest001と拡張子なしで入力して、画像フォーマットにjpegを選択すると、できるファイルはtest001という拡張子のないjpeg画像ファイルになるということです。
Saveボタンを押した後開かれるウインドウ内で、縦横のスケールバーやカラーチャートを画像ファイルに含むかどうかを個別に選択できます。ただ個人的にはどう設定してもいまいちな感じが拭えません。
7. ラインプロファイルを表示させ、画像やCSV形式で保存する
まずラインプロファイルを作成します。ツールボックス内からExtract profileを押します。表示されているAFM画像内でドラッグして表示させたいラインを設定します。そうすると下のウインドウが開きドラッグして引いたラインでのラインプロファイルが表示されます。このウインドウが開いた後もAFM画像上に引いたラインはクリック&ドラッグで好きな位置に移動させられます。最終的に画像やCSV形式にしたいラインが表示されたら、ウインドウ内のApplyボタンを押します。
Applyボタンを押すと、下のウインドウが開きます。このウインドウ内のをおすと側帳モードになり、ラインプロファイル上のマーカーを操作して幅や高さの情報を得ることができます。下の図のウインドウの上で右クリックして開いたメニュー内からExport Bitmapを選べばラインプロファイルが画像で保存されますし、Export Textを選べばCSVファイルとしてグラフが保存できます。
8. 測定データ内の測定条件等を表示させる。
開いたAFM像上で右クリックしてMetadatabrowserを選択する。
9. csvファイルを解析する読み込む
1. Fileメニュー→Open
2. OpenダイアログのFile typeをRow data fileにする。
3. ファイルをしていてOpenするとRead raw Fileウインドウが開く
4. Informationタブ上で
・ResolutionのHorizonal size, Vertical sizeにデータの横縦のデータ点数を入力する。
データが512 x 512なら両方とも512になる。
・Physical dimensionsのwidthとHeightに測定領域の大きさを入力します。指数部分はμmなら10^-6、nmなら10^-9を選択します。適切な選択肢がない場合はchangeボタンをおして10e-6とか10e-9などと入力すると10^-6や10^-9といった選択肢が表示されるようになります。
・Z-scale(per sample Unit)はデータファイル内に記録されている値の1が実際どれだけに対応するかを入力します。当センターの簡易AFMの像をcsv出力するとzの値は整数として記録されていますが、データのヘッダからzの値1は1.19×10^-12 mとわかるので、1.19と10^-12とします。10^-12が選択できない場合はchangeボタンをおして10e-6とか10e-12などと入力すると選択できるようになります。
5. Data Formatタブ上で
・textデータかBinaryデータか選択します(csvに変換した簡易AFMのデータはtextデータ)。
・Start from lineは読み飛ばすヘッダ行の行数を入力します(csvに変換した簡易AFMのデータに対しては33)
・Each row skipはcsvに変換した簡易AFMのデータに対しては0
・Field delimiterは数字の区切り文字を指定する。csvに変換した簡易AFMのデリミタはカンマだが、カンマは選択肢にないのでother characterとして下のOther delimiterに「,(カンマ)」を入力する。
ここまでやって右枠下のUpdateを押したとき右枠内にデータが示されれば完了。データの数がおかしいといわれたら、Start from lineがデーターのヘッダー部の行数よりも多く指定されてデーターの冒頭もスキップされてデータが足りなくなっている可能性がある。他にもResolutionのHorizonal size, Vertical sizeを勘違いして多く入力しているといった原因も考えられる。