0. はじめに
当センターには「顕微鏡」と名の付く装置が11台あります。
今回は選抜メンバー(デジタルマイクロスコープ、W-SEM、その場FE-SEM)の視力をテストしてみました。
1. 準備
FIBを使ってSi基板に視力検査表を彫ります。
ちなみに人間の視力検査は、外径7.5mm、太さ1.5mmの環に開けられた幅1.5mmの切れ目を5m離れた場所から確認できると視力1.0と評価されるらしいです。
(具体的な数値で示されると視力1.0って結構すごい気がします。)
顕微鏡下で上記の測定条件を再現する方法がよくわからなかったので、本記事における顕微鏡の「視力」は「視力レベル」のようなふんわりした雰囲気と思ってください。
今回用意した視力レベルは5段階です。
視力レベル | 環の外径 [nm] | 切れ目の幅 [nm] |
0.05 | 10000 | 2000 |
0.1 | 5000 | 1000 |
0.2 | 2500 | 500 |
0.5 | 1000 | 200 |
1.0 | 500 | 100 |
表1. 視力レベル一覧
2. 結果
2.1. デジタルマイクロスコープの視力レベル
デジタルマイクロスコープは35~2500倍の拡大や3D観察が可能な光学顕微鏡です。
デジタルマイクロスコープの視力レベルは0.1でした。
図1にデジタルマイクロスコープで撮影した像を示します。
図1. デジタルマイクロスコープの視力レベル
2.2 W-SEMの視力レベル
W-SEMはタングステンフィラメントの熱電子銃を備えた電子顕微鏡です。
主に1万倍以下での測定に利用されます。
W-SEMの視力レベルは0.5でした。
図2, 3にW-SEMで撮影した像を示します。
図3を見ると、もう少し設定を調整すれば視力レベル1.0の環が確認できそうですが、確実に認識できたのは視力レベル0.5の環だったので今回は視力レベル0.5と評価しました。
図2. W-SEMの視力レベル
図3. W-SEMの10000倍で撮影した像
2.3 その場FE-SEMの視力レベル
その場FE-SEMは電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡です。
超高倍率での観察が可能であり、EDSでの元素分析も可能です。
その場FE-SEMの視力レベルは1.0でした。
図4, 5にその場FE-SEMで撮影した像を示します。
図4は図2とほぼ同程度の像ですが、図5の高倍像に関しては図3とはっきり差が付きました。
図4. その場FE-SEMの視力レベル
図5. その場FE-SEMの50000倍で撮影した像
3. おわりに
センターの顕微鏡から代表して、デジタルマイクロスコープ、W-SEM、その場FE-SEMの視力をテストし、その差を確認することができました。
さらにFIBの加工精度も確認することもできました。