広部研究室は2022年4月にスタートした実験研究室であり、スピントロニクスを基点とした基礎研究を推進します。スピントロニクスは、電子の電荷とスピンをむすびつけて両方の流れー電流とスピン流ーを活用する研究分野です。20世紀の終わりから急速に進展し、火付け役の研究(巨大磁気抵抗効果の発見)には2007年ノーベル物理学賞が送られました。
スピントロニクスで培われたスピン流の考え方を他の研究分野にも拡げて、従来の学理体系を超えるようなスピン物性を追究します。当研究室では主に、電子スピンが取り持つ電気、磁気、熱のエネルギー変換現象を輸送測定で探索します。最近では電子スピンをもう少し広く捉えて、準粒子の角運動量が媒介する現象も調べています。研究対象は、現代物理学の視点(対称性、対掌性、相反性、双対性)から予見される興味深い現象です。標準的な実験技術を組み合わせて研究をすすめるので、学部生も先端研究にたどりつけます。