静岡複素解析幾何セミナー

Seminar on Complex Analytic Geometry in Shizuoka

複素解析幾何学とその周辺の話題に関する研究セミナーです。学部生・院生・スタッフを問わず、どなたでも参加を歓迎します。飛び入り参加も歓迎ですが、急な日程変更・会場変更等が生じる可能性がありますので、セミナーへの参加を予定される方は、可能でしたら、世話人まで事前にご連絡いただけると助かります。

2024年7月26日(金) 15:30〜, 静岡大学理学部C棟313
永原 健大郎 Kentaro Nagahara (東京工業大学 Tokyo Institute of Technology)
TBA
2024年6月21日(金) 15:30〜, 静岡県立大学経営情報学部棟4107室
野口 健太 Kenta Noguchi (東京理科大学 Tokyo University of Science)
曲面上のグラフの彩色,三角形分割と四角形分割
曲面や空間へ埋め込まれたグラフについての現象や構造を研究する分野「位相幾何学的グラフ理論」の中で,講演者は曲面上のグラフである三角形分割や四角形分割にとくに興味を持ち研究を続けている.具体的には主に組合せ論の観点からそれらの変形操作や彩色について研究を行っており,本講演では「四色問題」に端を発する曲面上のグラフの彩色研究における動機や背景,問題の紹介を行う.講演者の研究結果にいくつか触れつつ,時間が許せば最近の結果「射影平面上の三角形分割が2-彩色可能な全域四角形分割をもつための必要十分条件」についての概略も説明したい.
2024年5月31日(金) 15:30〜, 静岡大学理学部C棟313
山田 拓身 Takumi Yamada (島根大学 Shimane University)
ある複素可解多様体の複素幾何学的性質について
可解リー群が推移的に作用する多様体は可解多様体と呼ばれる。特にベキ零リー群の時ベキ零多様体と呼ばれる。
ケーラー計量をもたないコンパクトなシンプレクティック多様体の最初の例である、小平-サーストン多様体のように、ケーラー構造を持たないが、ケーラー構造の一般化ならばもつ可解多様体が多く存在する。このように複素可解多様体は複素多様体の中で性質の良い空間である。よって非ケーラー多様体の研究で重要である。
ベキ零多様体では剛性定理が成り立つ。正確な表現でないが、2つのべき零多様体は基本群が同型であるならば、2つのベキ零リー群は同型となる。可解多様体の場合には、モストフによる結果があり、リー群の同型写像の存在までは言えず、いくつかの性質を持つ微分同相写像の存在が示される。
講演者は過去にベキ零多様体ほど剛性定理が成り立たないことを利用して複素可解多様体を研究したことがある。すなわち、複素構造を持つ1つの可解多様体を複数の形で表示し、それぞれ表示の利点をもちいてその性質を調べた。
今回は、剛性定理が弱い形でしか成り立たないことを利用した複数の表示法ではないが、表示の仕方を利用した方法の理解が進み、ある種の可解多様体の性質の研究が少し進展したため、その内容について主に講演する。
2024年5月10日(金) 16:00〜, 静岡大学理学部C棟313
古谷 賢朗 Kenro Furutani (大阪公立大学 Osaka Metropolitan University / 東京理科大学 Tokyo University of Science)
Radon transformation and Fourier integral operators
We consider a type of operators defined by double fibrations or more generally double submersions, which we may call a general Radon transformation. The main purpose of this talk is to discuss when such operators are in the class of Fourier integral operators (= FIO). So, first we give a brief introduction of the Lagrangian distribution theory and FIO theory and explain a condition, incidence relation (named by S. S. Chern before world war II) and show this property implies the clean product theorem of FIO. Then, we show as an example that the Radon transformation from the Gromoll-Meyer exotic 7 sphere to the standard 7 sphere has infinite dimensional kernel and cokernel, even if it is elliptic in the sense of non-vanishing of the principal symbol.
2024年4月26日(金) 15:30〜, 静岡大学理学部C棟313
田中 仁一朗 Jinichiro Tanaka (大阪公立大学 Osaka Metropolitan University)
トロイダル群上の平坦直線束係数のコンパクト台付きコホモロジーについて
トロイダル群とは, 複素可換Lie群のうち, その上で非定数な正則関数を持たないようなものである. 一般に連結なトロイダル群は$n$次元複素ユークリッド空間をある離散部分群で割ったもので表せる. トロイダル群の (平坦直線束係数の) Dolbeaultコホモロジーは風間や阿部らによって計算されている. これらの結果により, 離散部分群の生成元たち (と直線束のモノドロミー) の無理数論的条件によって, コホモロジーが有限次元になる場合と, 無限次元non-Hausdorff空間になる場合を判別できる. 今回は, 以上の先行研究の結果を踏まえ, トロイダル群のコンパクト台付きのコホモロジーに関する事実を紹介する. 本研究は, 小池貴之氏との共同研究である.
2024年2月2日(金)15:00〜, 静岡県立大学一般教育棟2103室
中野 雄史 Yushi Nakano (東海大学 Tokai University)
曲面上の微分同相写像のホモクリニック分岐によるLyapunov指数の非存在
Lyapunov指数は,カオス性の検出や非一様双曲力学系理論の基礎付けのように,数学を含む自然科学で広く用いられている.一方で,その(不変確率測度の台の外での)存在についてはほとんど議論がなされていない.本講演では,Lyapunov非正則集合,つまりLyapunov指数が存在しないような点全体の集合が,Lebesgue測度正となるかという問題を考える.Colli-Vargasによって導入された頑強なホモクリニック接触を持つ曲面上の微分同相写像を含む,様々な既知の非双曲力学系が,Lebesgue測度正のLyapunov非正則集合を持つことを報告する予定である.この結果は桐木紳,李曉龍,相馬輝彦各氏との共同研究に基づく.時間が許せば,区間交換写像のTeichmuller空間におけるZorichコサイクルのLyapunov指数についても言及したい.
2024年1月26日(金)15:00〜, 静岡大学理学部B棟201
待田 芳徳 Yoshinori Machida
図形配置に付随した超幾何積分とガウス・マニン接続(第3回)
前2回で,具体例で超幾何関数,積分の様子を垣間見た.いよいよ一般論をやり,連立方程式系の変数と係数の対応から,係数の空間上のコホモロジー束,ガウス・マニン接続を定式化する.特異点として,終結式=0,や判別式=0が出てくる.
2023年12月8日(金)15:00〜, 静岡大学理学部B棟201
待田 芳徳 Yoshinori Machida
図形配置に付随した超幾何積分とガウス・マニン接続(第2回)
前回のガウスの超幾何関数に続いて,自然な一般化であるグラスマン多様体上の超幾何関数をみていく.
2023年11月17日(金)15:00〜, 静岡大学理学部B棟201
小川 智史 Satoshi Ogawa (大阪公立大学 Osaka Metropolitan University)
コンパクト複素曲線の正則管状近傍定理とブルーノ条件
Arnol’dにより, 楕円曲線が複素曲面に法線束がユニタリ平坦となるよう正則に埋め込まれているとき, その法線束がディオファントス条件を満たせば楕円曲線が正則管状近傍を持つことが示された. これは一変数複素力学系における線形化の観点から得られた結果であり, ディオファントス条件という無理数論的条件から関数の摂動を精密に評価したのであった. 本講演では一変数複素力学系と比較しつつ, 一般の条件下の正則管状近傍の存在についてGong—Stolovitchの結果を紹介する. この結果の応用に, 特定の条件下の一般のコンパクト複素曲線の正則管状近傍定理では, ディオファントス条件より広いクラスを定めるブルーノ条件が現れることを紹介する.
2023年10月27日(金)15:00〜, 静岡大学理学部B棟201
待田 芳徳 Yoshinori Machida
図形配置に付随した超幾何積分とガウス・マニン接続
いくつかの多項式の複素べきのツイスト・サイクル上の複素積分である超幾何積分と,多項式=0からの図形の変分を表すガウス・マニン接続の一般論をまずやっていく.題材として,1変数であれば点配置,1次であれば直線,平面,超平面配置,さらには2次であれば円,球面,超球面配置,そして楕円配置などを調べていく.
2023年10月13日(金)15:30〜, 静岡県立大学経営情報学部棟4107
松田 凌 Ryo Matsuda (京都大学 Kyoto University)
Maximal cusps are not dense
Riemann面 $R$ のTeichmuller空間 ${\rm Teich}(R)$ とは, その複素構造の変形を記述した空間である. 従ってなんらかの意味でその境界を考えることは, ${\rm Teich}(R)$ の構造を調べること, 複素構造を理解するために重要である. 本講演では $R$ が無限型の場合に, Bers境界について考える. Bers-Maskitによって, $R$ がcompactの場合は, Bers境界には, 位相的な退化現象しか存在しないことが知られている. これは, 複素構造の退化が位相的にも退化を引き起こすということである. 本講演では, $R$ が無限型であって, $R$ の閉測地線の長さ全体の下限が $>0$ の場合, Bers境界には $R$ と同相な曲面が存在することを具体的に構成する. また, この事実を用いて, 無限型であって志賀条件を満たす場合に, Maximal cuspが稠密ではないことを示す.
2023年7月31日(月)15:00〜, 静岡県立大学経営情報学部棟4107
熊谷 駿 Shun Kumagai (東北大学 Tohoku University)
平坦曲面のボロノイ分解と折り紙
平坦曲面上の点を錘点に関する一意最短性で分けて得られるセル分解をボロノイ分解という。これを用いたVeech群の研究はBowman(2010)に始まり、最近ではフロベニウスノルムに応じた計算でVeech群の基本領域を近似・特定するEdwards-Sanderson-Schmidt(2022)の結果が知られている。先行研究の議論は、サドル接続のベクトル・結ぶ錘点・通過するシートを合わせた情報が圏としてアフィン不変量であってそのボロノイ版(ボロノイステープル)が有限の”生成系”であることに対応している。ここでシートとベクトルの情報を揃えて扱える点で折り紙は特別な平坦曲面である。このこと及び関連するVeech群へのアプローチについて紹介する。
2023年6月12日(月)14:30〜, 静岡大学理学部C棟309
森本 徹 Tohru Morimoto (岡数学研究所 Institut Kiyoshi Oka)
General principles for the equivalence problem in differential geometry and their applications to complex and CR geometry
The equivalence problem is one of the most fundamental problems in differential geometry and has long history. Recently we have developed unified general theories for the equivalence problem in both extrinsic and intrinsic geometry (B. Doubrov, Y. Machida and T. Morimoto, Extrinsic geometry and linear differential equations, Sigma 2021; J. Hong and T. Morimoto, Prolongations, invariants and fundamental identities of geometric structures, Arxiv Math 2022).
In this talk I like to discuss their various applications, in particular, to some global problems in complex geometry and to the classification problem of germs of CR manifolds of higher codimensions.
2023年5月8日(月)15:40頃〜, 静岡大学理学部C棟309
小池 貴之 Takayuki Koike (大阪公立大学 Osaka Metropolitan University)
Ueda’s lemma via uniform Hörmander estimates for flat line bundles
We establish Hörmander-type $L^2$-estimates for the $\overline{\partial}$-operators that hold uniformly for all nontrivial flat holomorphic line bundles on compact Kähler manifolds. Our result can be regarded as a $\overline{\partial}$-version of Ueda’s lemma on the operator norm of Čech coboundaries for flat line bundles and indeed recovers the original version of Ueda’s lemma for compact Kähler manifolds. A partial generalisation for $(p,0)$-forms on Ricci-flat manifolds is also given. This talk is based on a joint work with Yoshinori Hashimoto.
2023年4月25日(火)15:30〜, 静岡大学理学部C棟309
中井 啓太 Keita Nakai (名古屋大学 Nagoya University)
Universality for the iterated integrals of logarithms of $L$-functions in the Selberg class
Riemannゼータ関数$\zeta(s)$の値の挙動は, 素数と関係していることがRiemann予想をはじめとして知られており, 重要な研究対象である. Riemannゼータ関数$\zeta(s)$は, $1/2 \lt \operatorname{Re}(s) \lt 1$において複素平面上稠密になることが知られているが, $\operatorname{Re}(s) = 1/2$での稠密性は未解決である. そこで2021年に遠藤, 井上は対数をとったRiemannゼータ関数の実軸方向の反復積分という関数を導入し, この問題に関係する新たな結果を得た. さらに2022年に遠藤は, この関数に対し普遍性定理と呼ばれるある種の近似定理が成り立つことを示した. 今回は, この普遍性定理の結果をSelbergクラスの$L$関数に拡張することができたので, この結果に付随する話題及び手法を紹介する.
2022年11月24日(木)15:00〜, 静岡大学理学部C棟309
柳下 剛広 Masahiro Yanagishita (山口大学 Yamaguchi University)
擬等角写像の複素解析的な多次元拡張について
擬等角写像とは等角写像の一般化に相当する概念である. 無限小の意味では超球面を超楕円体に移すような写像である. 実際, 極値的長さなどの等角不変量に関して擬等角写像は擬不変性を持っている. 実2変数の場合には, 擬等角写像 $f$ は複素数平面間の写像と見なせて, ある定数 $0 \le k < 1$ を用いて $|f_{\bar{z}}| \le k |f_z|$ がほとんどいたるところの点で満たされる. この観点から, 一般にはリーマン面の変形理論(タイヒミュラー空間論)の複素解析的研究が展開され, 豊饒な成果が得られている. 本講演では複素解析的な観点から複素多変数の場合における"擬等角性"について考察したい.
2022年10月17日(月)15:00〜, 静岡大学理学部C棟309
松谷 茂樹 Shigeki Matsutani (金沢大学 Kanazawa University)
楕円関数・超楕円関数と微分方程式
楕円積分から始め、その逆関数としての楕円関数と,楕円積分から定まる楕円曲線と微分方程式,楕円曲線上の有理関数としての楕円関数を解説し,微分方程式を楕円積分の値域(ヤコビ多様体)上の関数として解釈する. 楕円曲線は種数1の閉リーマンである.本講演では,上記の対応を種数2の超楕円曲線へ拡張をすることを,幾つかの仮定の下で目指し,微分方程式を得る.得られた微分方程式は,可積分微分方程式として知られるKdV方程式となる.つまり,本講演では目指すのは,KdV方程式の超楕円関数解の導出である.時間があれば,これらの更なる一般の曲線への拡張についても触れる.
2022年7月15日(金)15:10〜, 静岡大学理学部C棟309
相原 義弘 Yoshihiro Aihara (東京学芸大学・福島大学 Tokyo Gakugei University / Fukushima University)
代数多様体内の正則曲線の値分布, 特に高次元Nevanlinna理論とその周辺
高次元値分布論,特に代数多様体内の整正則曲線のNevanlinna理論とその周辺の話題について紹介する.初めに現在までのNevanlinna理論についての概説を行う.更に正則曲線あるいは有理型写像の逆像に関する条件下での一意性問題について論じる.正の除外因子を持つような正則曲線の構成についての話題を紹介する.時間に余裕があれば,小林双曲的多様体との関連についても話題を紹介する.
2022年6月1日(水)15:30〜, 静岡大学理学部C棟309
赤堀 隆夫 Takao Akahori (兵庫県立大学 University of Hyogo)
部分的可積分な概CR構造上のルミン複体
$M$をコンパクト、実次元が5以上の接触多様体とする。もしこの接触多様体がCR構造を持ち、それが強擬凸ならば$M$は Stein variey の境界となる(H.Rossi の定理。これは複素解析の重要な結果)。本研究では、$M$がCR構造を持たない場合でも、やはり、弱い意味での複素解析的構造を持つことを示した。この研究は、接触多様体の Stein filling の問題と関連している。 
2022年3月24日(木)15:00〜, 静岡大学理学部C棟309
戸澗 勇一郎 Yuichiro Toma (名古屋大学 Nagoya University)
Apostol-Vu型2重ゼータ関数の平均値定理とその応用
In order to evaluate the growth order of multiple zeta-functions, mean values of various multiple zeta-function have been studied. In the case of the double zeta-function, we consider the Apostol-Vu type, and calculate mean square values of this type. Moreover, by using the result of the Apostol-Vu type, we can also calculate mean square values for the Mordell-Tornheim type in the region where the mean value formulae have not been obtained before.
2022年1月7日(金) 13:30〜, 静岡大学理学部C棟309
四之宮 佳彦 Yoshihiko Shinomiya (静岡大学 Shizuoka University)
Period matrices of some hyperelliptic Riemann surfaces
リーマン面の周期行列は1次ホモロジー群のsymplectic basisにのみ依存する行列である.しかし一般にsymplectic basisを与えることが難しいために一般種数のリーマン面の周期行列の具体例はこれまであまり多くは知られていない.この講演では一般種数の超楕円的リーマン面をいくつかの長方形の貼り合わせから構成する.構成したリーマン面の代数方程式が$w^2=z(z^2-1)(z^2-a_1^2)(z^2-a_2^2)\cdots (z^2-a_{g-1}^2)$ ($1<a_1<a_2< \cdots <a_{g-1}$) で与えられることを示し,逆にこの形の代数方程式から定まる代数曲線は全て今回の構成法から得られることも示す.更に1次ホモロジー群のsymplectic basisを具体的に与えることで,構成したリーマン面の周期行列を計算する.
足立 真訓 Masanori Adachi (静岡大学 Shizuoka University)
Dynamical aspects of foliations with ample normal bundle
We prove the following result that was conjectured by Brunella: Let $X$ be a compact complex manifold of dimension > 2. Let $F$ be a codimension one holomorphic foliation on $X$ with ample normal bundle. Then every leaf of $F$ accumulates to the singular set of $F$. This is a joint work with Judith Brinkschulte (arXiv:2105.10226).
2021年12月20日(月) 14:00〜, 静岡大学理学部C棟309
澤井 洋 Hiroshi Sawai (沼津工業高等専門学校 National Institute of Technology, Numazu College)
Vaisman 可解多様体の構造定理の逆について
局所共形ケーラー多様体において, その Lee 形式が Levi-Civita 接続によって平行となるとき, Vaisman 構造という. Vaisman 可解多様体にはすでに構造定理があり, その可解リー群の極大べき零正規リー部分群は, Heisenberg リー群によって構成される. 本講演では, これの逆を考察する. 即ち, Heisenberg リー群から構成される可解多様体が局所共形ケーラー構造をもつならば, Vaisman 可解多様体, または, 非 Vaisman な井上曲面となることを示す.
2021年12月13日(月) 14:30〜, 静岡大学理学部C棟309
中村 聡 Satoshi Nakamura (沼津工業高等専門学校 National Institute of Technology, Numazu College)
ケーラーアインシュタイン計量およびその一般化に関するサーベイ
ケーラーアインシュタイン計量(KE計量)の存在問題は複素幾何学における中心的問題の一つであった.2015年にChen-Donaldson-SunやTianは代数幾何学的な概念であるK-安定性がKE計量の存在性と同値であると証明した.幾何学的偏微分方程式の可解性が代数幾何で特徴づけられ興味深い. 本講演では,KE計量に関する基本事項の紹介と,特に,KE計量の存在性からK-安定性がどのように従うのかをケーラー計量全体の空間における測地線の理論を用いて紹介する.また,一連の研究の中でKE計量を許容しない複素多様体も豊富に存在することがわかっている.そのような多様体にはKE計量の代替物がいくつか知られている.講演者が近年取り組んでいる満渕ソリトンやカップルドKE計量についても紹介したい.種々の具体例における存在定理や代数幾何的安定性との関わりを述べたい.
※対面形式のみでの開催です。参加を希望される方は、事前に世話人にお問い合わせください。
2021年11月29日(月) 14:00〜, 静岡大学理学部C棟309
待田 芳徳 Yoshinori Machida (静岡大学 Shizuoka University)
Informal talk
2021年11月18日(木) 15:30〜17:00, 静岡大学理学部C棟309
志賀 啓成 Hiroshige Shiga (京都産業大学 Kyoto Sangyo University)
Quasi-circles and Dirichlet finite harmonic functions on Riemann Surfaces
Quasi-circlesはさまざまな性質が知られている.本講演では,最近得られたSchipper-StaubachによるRiemann面上のquasi-circlesの特徴付けについて,その改良と一般化について考察する.
※対面とZoom中継のハイブリッドでの開催です。参加を希望される方は、事前に世話人にお問い合わせください。
2021年11月15日(月) 14:30〜, 静岡大学理学部C棟309
菊池 翔太 Shota Kikuchi (名古屋大学 Nagoya University)
大沢-竹腰$L^2$拡張定理の精密な評価の高次元化
大沢-竹腰$L^2$拡張定理とは、正則関数の部分多様体からの拡張を$L^2$評価付きで考えるものである。一般に大沢-竹腰$L^2$拡張定理の$L^2$評価式に現われる係数は、拡張前の正則関数や重み関数の取り方に依存しない。細野氏は、複素平面内の有界領域上の1点からの$L^2$拡張定理に対して、$L^2$評価式に現われる係数を重み関数の取り方に依存させることで、より精密な評価が得られることを証明した。本講演では、細野氏の結果の高次元化について説明する。
※対面形式のみでの開催です。参加を希望される方は、事前に世話人にお問い合わせください。
2021年10月28日(木) 13:00〜, 静岡大学理学部C棟215
藤野 弘基 Hiroki Fujino (名古屋大学 Nagoya University)
Extension of Krust theorem and deformations of minimal surfaces
極小曲面の理論においてワイエルシュトラス表現公式(ワイエルシュトラス・エネパー表現公式)は基本的な道具の一つである。このワイエルシュトラス表現公式を用いて様々な極小曲面の変形が考案され曲面論の発展に活用されてきた。例えば、同伴族(随伴族、ボンネ変換)、ロペス・ロス変形、(カラビによる)双対対応などが挙げられる。本講演ではワイエルシュトラス表現公式を用いた新たな変形の枠組みを導入し、上記の変形全てを含むような変形族を定義する。さらにこの変形族に対しKrust型の定理と呼ばれる曲面の埋め込み性に関する定理を証明する。証明においては単葉調和関数論の最近の発展がダイレクトに活用される。この点を踏まえて極小曲面の変形と関数論・調和解析との関係についても言及する。今回説明する内容は日本大学の赤嶺新太郎氏との共同研究に基づく。
稲山 貴大 Takahiro Inayama(東京理科大学 Tokyo University of Science)
孤立特異点を持った特異エルミート計量について
Griffiths正値な特異エルミート計量に付随する乗数イデアル層は連接であるか、という問題を考える。直線束の場合はNadelによって解決されているが、一般のベクトル束上ではNadelの証明方法はそのままでは適用できないのでかなり難しい問題であると思われる。本講演では、特異エルミート計量の特異点(正確にはunbounded locus)が孤立しているならば、上の問題は正しいということを説明する。
2021年4月1日(水) 13:00〜, 静岡大学理学部C棟309
待田 芳徳 Yoshinori Machida (静岡大学 Shizuoka University)
四之宮 佳彦 Yoshihiko Shinomiya (静岡大学 Shizuoka University)
足立 真訓 Masanori Adachi (静岡大学 Shizuoka University)
Informal talks
2020年12月23日(水) 13:00〜, 静岡大学理学部C棟309
保坂 哲也 Tetsuya Hosaka (静岡大学 Shizuoka University)
グラフの再構成可能予想と関連付けられた有向グラフについて
2つの有限単純グラフ $\Gamma$, $\Gamma’$ を頂点数が3以上で, 次をみたすとする:

$(*)$ 全単射 $f:V(\Gamma) \to V(\Gamma’)$ が存在し, 各 $v\in V(\Gamma)$ について, 同型 $\phi_v:\Gamma-v \to \Gamma’-f(v)$ が存在する.

このとき, $\Gamma$ と $\Gamma’$ は同型になるであろう, というのが, 有限単純グラフの再構成可能予想になる.
今回, $\Gamma$, $\Gamma’$, $f$, $\{\phi_v\}_{v\in V(\Gamma)}$ から2種類の矢印を持つ有向グラフ $\widetilde{\Gamma}$ を関連付けて考えるアプローチを行い, 2つのグラフ $\Gamma$ と $\Gamma’$ の間に $\phi_v$ から得られる自然な同型がない場合は, $\Gamma$ と $\Gamma’$ はある種の構造を持つことがわかったので紹介する。

2020年10月23日(金) 13:30〜, 静岡大学理学部C棟309
大沢 健夫 Takeo Ohsawa (名古屋大学 Nagoya University)
塔上のBergman核の漸近解析
複素多様体の列 $M_k$ ($k\in\mathbb{N}$) と正則写像 $\pi_k:M_{k+1}\to M_k$ が、$M_{k+1}$ が $\pi_k$ によって $M_{k}$ の被覆空間になるように与えられているとき、$M=\lim_{\underset{k\to\infty}{\longleftarrow}}{M_k}$ から $M_k$ への標準的写像 $\pi^k$ が定まる。$M_k$ のBergman核を $\pi^k$ で引き戻してできる $M$ 上の列がいつ $M$ のBergman核に収束するかという問題は基本的であり興味深いと思われる。これについて得られている二三の結果を紹介したい。
2019年12月10日(火) 16:30〜, 静岡大学理学部C棟314
木村 昭太郎 Shotaro Kimura (早稲田大学 Waseda University)
解空間が保型性を満たす微分方程式について
ある群に対する保型性といくつかの条件を満たす関数を保型形式という.解空間が保型性を満たす微分方程式(保型微分方程式)を考えると,興味深い保型形式解が存在することがある.例えば,楕円モジュラー形式の場合は保型形式解が超幾何多項式を用いて記述できる.この他にも保型形式論や頂点作用素代数などの分野に関する結果が知られている.本講演ではそのような先行研究と,講演者が得た,正則でない保型形式である歪正則ヤコビ形式に対する保型微分方程式について紹介する.
2019年11月19日(火) 16:30〜, 静岡大学理学部C棟314
側島 基宏 Motohiro Sobajima (東京理科大学 Tokyo University of Science)
あるクラスの非有界な係数をもつSchrödinger作用素の自己共役性について
本講演では $\mathbb{R}^N $上で定義される,Schrödinger作用素 $Au(x)=-div(a(x)\nabla u(x))+V(x)u(x)$ の $L^2(\mathbb{R}^N)$ における(本質的)自己共役性について考える.係数の増大が比較的緩やかな場合には特に例外的な現象は起きないが,ある閾値を超えると(Schrödinger作用素は形式的には対称に見えるが,)本質的自己共役性が破綻することがある.
加藤敏夫氏によって(1981年に)この閾値的なある増大条件の下で本質的自己共役性が得られるか,という問題が提起された.この問題に対する考察と,講演者が得た部分的な解答についてお話したい.
2019年7月19日(金) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
志賀 啓成 Hiroshige Shiga (京都産業大学 Kyoto Sangyo University)
Cantor集合たちの構造
複素平面上の全不連結な完全集合を Cantor 集合と呼ぶ.Standard な 1/3 Cantor 集合はお馴染みであるが,その他さまざまなタイプの Cantor 集合が存在する.本講演では,そのいくつかのタイプの Cantor 集合たちの「離れ具合」について考察する.時間が許せば,Random Cantor 集合と呼ばれる Cantor 集合の間の距離について最近得られた結果を紹介したい.
2019年6月14日(金) 15:00〜(18:00頃までを予定), 静岡大学理学部C棟314
待田 芳徳 Yoshinori Machida (静岡大学 Shizuoka University)
ツイスター理論から見た幾何構造と微分方程式(続き)
 前回の続きである.
 前回は,ツイスター理論とは何かについて述べた.さらに,ツイスター理論の舞台となる旗多様体,フィルターつき多様体を述べた.
 今回は,まずそれらを視覚的,感覚的に捉えるディンキン図形の見方をみていく.次に,ツイスター理論での演技として,幾何構造と微分方程式をとり上げる.まず,幾何と微分方程式の対応を述べる.そして,幾何構造については:
 1)パス幾何 2)階数2のリー代数
微分方程式については:
 1)関数,sectionからの線形DE
   i) ラドン変換,ペンローズ変換
   ii) 超幾何積分,ガウス・マニン接続
 2)部分多様体,divisorからの非線形DE
   i) ベックルント変換
   ii) コーン構造
2019年5月10日(金) 15:00〜(18:00頃までを予定), 静岡大学理学部C棟314
待田 芳徳 Yoshinori Machida (静岡大学 Shizuoka University)
ツイスター理論から見た幾何と微分方程式
 ツイスター理論とは,違う幾何構造の双対性を,ダブル・ファイブレーションを通して調べるものである.一般に次元が違うことに注意する.即ち,1つの空間の幾何構造に付随した部分多様体の族のモジュライが双対空間となる.また逆に,その双対空間が幾何構造をもち,付随した部分多様体の族のモジュライが元の空間となる.
 ツイスター理論の豊かな果実を実らせる豊饒な大地は,旗多様体である.巾零(あるいは放物)幾何としての旗多様体をflat modelとして,非ホロノーム幾何としてのフィルターつき多様体をcurved versionとして土台を置き,理論を構築していく.それらについてまず述べる.
 ツイスター理論と幾何構造の関係,および微分方程式との関係を,具体例も含めて述べていき,非線形・内在の線形化・外在化をツイスター理論の枠組みの中で言及する.
2019年4月12日(金) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
松村 慎一 Shin-ichi Matsumura (東北大学 Tohoku University)
On projective manifolds with semi-positive holomorphic sectional curvature
In this talk, I explain the geometry of a projective manifold (more generally a Kaehler manifold) $X$ with semi-positive holomorphic sectional curvature. I first show that, if $X$ has (quasi-)positive holomorphic sectional curvature, then $X$ is rationally connected, that is, arbitrary two points can be connected by a rational curve (the image of $\mathbb{P}^1$ under a holomorphic map). This result gives an affirmative solution for Yau’s conjecture. Moreover I show that, if $X$ has semi-positive holomorphic sectional curvature, $X$ admits a locally trivial morphism from $X$ to $Y$ such that the fiber $F$ is rationally connected and the image $Y$ has a finite etale cover by an abelian variety $A$. This structure theorem can be seen as a generalization of the structure theorem proved by Howard-Smyth-Wu and Mok for holomorphic “bisectional” curvature. Also I show that the universal cover of $X$ is biholomorphic and isometric to the product of $\mathbb{C}^m$ and $F$. The proof depends on the theory of holomorphic foliations, MRC fibrations, and singular hermitian metrics.
2019年2月22日(金) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
藤野 弘基 Hiroki Fujino (名古屋大学 Nagoya University)
反ド・ジッター空間内の完備極大曲面に対する表現公式
曲面論における表現公式は, 種々の空間系・時空内のある種の曲面に対しその情報を関数論的なデータとして抽出・翻訳するものである. 例えばワイエルシュトラス表現公式は, ユークリッド空間内の極小曲面と一定の条件を満たす正則関数の三つ組を対応させる. 本講演では3次元反ド・ジッター空間内の完備な極大曲面に対し, その情報を関数論的データに置き換えるための表現公式について考える. 反ド・ジッター空間内の極大曲面に対する表現公式はすでに構成されているため, それを用いて極大曲面の「完備性」がどのような関数論的性質に対応するか議論する.
2018年11月13日(火) 16:30〜, 静岡大学理学部C棟314
伊藤 健太郎 Kentaro Itoh (名城大学 Meijo University)
重み付きポテンシャル論から多項式近似へ
$\mathbb{R}$上の多項式近似について考察する際に, 多項式は$|x|\to\infty$において発散するため,\[ \lim_{|x|\to\infty}x^nw(x)=0 \]となるような適当な「重み」を乗じて考える必要がある. このような$\mathbb{R}$上での重み付き多項式近似の理論の構築には特に2次元の($\mathbb{C}$上の)ポテンシャル論が深く関係しており, 多くの重要な命題はしばしば対数ポテンシャルの性質を用いて導かれてきた.今回の講演では, ポテンシャル論と多項式近似を繋ぐ重要な量である「MRS numbers」に関する研究についての概要と現状を紹介し, 加えてそれらの空間多次元への拡張の可能性にも触れる.
2018年8月6日(月) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
山盛 厚伺 Atsushi Yamamori (工学院大学 Kogakuin University)
A Bergman geometric proof of Poincare’s theorem and its generalization
In this talk, we first explain a Bergman geometric proof of inequivalence of the unit ball and the bidisk. In this proof, the homogeneity of the domains plays a substantial role. We next explain a recent attempt to extend our method for non-homogeneous cases.
2018年7月6日(金) 14:30〜, 静岡県立大学経営情報学部棟4213教室(2講演あります)
小松 亨 Toru Komatsu (東京理科大学理工学部 Tokyo University of Science)
3次巡回体の単数に関するある不変量の性質について
$\mathbb{Z}$ を有理整数環, $O$ を代数的整数 ($\mathbb{Z}$ 係数モニック多項式の根となる複素数) 全体からなる環, $U$ を $O$ の単数群とする. 単数群 $U$ の元 $\varepsilon$ に対し $C(\varepsilon)=\{u\in U\ \vert\ u-\varepsilon\in\mathbb{Z}\}$ は有限集合であり, $C(\varepsilon)$ の位数を $c(\varepsilon)$ とかく. $c(\varepsilon)$ の性質および関連する内容を, 特に3次巡回体の単数 $\varepsilon$ の場合について紹介する.
坂田 裕 Hiroshi Sakata (早稲田大学高等学院 Waseda University Senior High School)
ヤコビ形式上で定義されるレベル・指数交換写像に関する諸注意
(整数論や表現論,微分幾何学など) 数学上の様々な分野でジーゲル保型形式は重要な役割を果たす.そのため,その次元公式や跡公式,保型形式環の構造等を通じて,その性質が多くの研究者によって調べられている.本講演では,ジーゲル保型形式のフーリエ・ヤコビ係数として現れるヤコビ形式について概説し,そのレベルと指数を入れ替える写像と,写像を構成する上で必要な条件を具体的に与える.
2018年6月29日(金) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
本田 淳史 Atsufumi Honda (横浜国立大学 Yokohama National University)
3次元ローレンツ多様体内の有界なガウス曲率を持つ混合型曲面
3次元ローレンツ多様体内の連結な正則曲面で,誘導計量が正定値になる部分(空間的部分)と不定値になる部分(時間的部分)を持つものを混合型曲面と呼ぶ.混合型曲面には特異点はないが,空間的部分と時間的部分の境界の点,つまり光的点は誘導計量の特異点とみなされる.本講演では,ガウス曲率の光的点の近傍での振る舞いを説明する.とくに,有界なガウス曲率を持つ混合型曲面に対するガウス・ボンネの定理を紹介する.本講演は神戸大学の佐治健太郎氏と寺本圭佑氏との共同研究に基づく.
2018年5月11日(金) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
古谷 賢朗 Kenro Furutani (東京理科大学理工学部 Tokyo University of Science)
Geometry and Analysis of Non-holonomic Structure
First, I explain a geometric structure, called non-holonomic structure, or some times it is called sub-Riemaninnian structure comparing with Riemannian structure, and then I discuss related geometric and analytic problems, especially I explain a natural second order operator (called sub-Laplacian) similar to Laplacian.
Main purpose of this talk is to introduce a class of nilpotent Lie groups attached to Clifford modules and show some recent results on the spectrum of the “sub-Laplacian” on their compact quotients.
2018年4月20日(金) 10:20〜, 静岡大学理学部C棟314
Kickoff meeting
2018年3月26日(月) 15:00〜, 静岡大学理学部C棟314
Sylvain Arguillère (Université Claude Bernard Lyon 1)
Shape analysis through flows of diffeomorphisms
The goal of shape analysis is to compare shapes in a way that takes into account their geometric properties. The end goal is to give an adapted framework for the statistical analysis of medical data, in order to identify sick patients automatically for example. In this talk, I will describe a method introduced by Alain Trouvé, which allows to compare shape through flows of diffeomorphisms with minimal energy, using tools from differential geometry and optimal control.

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