超弦理論と関連した非平衡物理

加速膨張する宇宙初期や、ブラックホールの蒸発など物理的に非常に重要な過程を理解するためには量子効果を取り入れた時間発展問題を解析する必要があります。このような時間発展問題は「非平衡物理」と呼ばれ、これまでも物性理論を中心に研究が行われてきましたが、素粒子理論においても重要性が増しています。しかし相互作用する量子多体系の時間発展問題の解析は一般に難しく、現在多くの研究者により活発に研究されています。

私達の研究室では、超弦理論やブラックホールに関係する時間発展問題を、流体力学や数値解析を用いて解析してきました。また二次相転移点におけるスケーリング則(Kibble-Zurek則)や、可積分系における熱平衡化過程(Generalized Gibbs ensemble)など物性理論に関連する非平衡化過程も弦理論では自然に出現するため、これらの研究も行っております。

このような研究を通して場の量子論や超弦理論における非平衡物理のダイナミクスを解明していきたいと考えています。

流体BH

図: ブラックホールの事象の地平線の熱平衡化過程。地平線のゆらぎが時間がたつにつれて平衡化していきます。(図の下から上に向かって時間が進んでいきます。)

参考文献
Sumit R. Das, Takeshi Morita
JHEP 01 (2015) 084  学術論文へのリンク
Gautam Mandal, Takeshi Morita
JHEP 10 (2013) 197  学術論文へのリンク
Sayantani Bhattacharyya, Veronika E. Hubeny, R. Loganayagam, Gautam Mandal, Shiraz Minwalla, Takeshi Morita, Mukund Rangamani, Harvey S. Reall
JHEP 0806 (2008) 055学術論文へのリンク


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