研究

卒業研究では担当教員の指導の下、数理システム工学の応用技術、基礎技術に関する研究を行います。
数理システム工学科を担当する教員は、以下のような研究を行っています。

※本学科担当教員の一部のみを紹介しています。

社会ネットワークを理解するための理論的アプローチ

教授 守田 智

MoritaSatoru
協力的行動が全体の利益をもたらすけれど非協力的行動によって個人の利益が確保されるようなジレンマ的な状況は人間社会だけでなくあらゆる生物で見られます。このような状況で協力的行動が進化・保持されるメカニズムの一つとして互恵主義が知られています。社会ネットワークに着目し、つながりと行動と関係性を探っています。また社会ネットワーク上を伝播していくモノや情報などのダイナミクスの研究も行っています。

ネットワーク上の進化ゲームモデル

車車間無線ネットワークによる安全運転支援

教授 石原 進

自動車間の無線通信によって事故を防止するための無線ネットワーク技術に取り組んでいます。各車両が通知する位置情報に加え、車載センサやカメラによって他の車両や歩行者の状況をネットワークによって共有することで、全ての車両で無線通信が可能でない場合においても、周辺の状況を細かく把握して事故を軽減することを目指しています。複数の無線通信手段を併用することで、無線通信路の混雑や電波妨害攻撃にたいして頑健な制御を実現します。


協調センシングによる安全運転支援

コンピュータ・グラフィックスと人工知能

准教授 岡部 誠

コンピュータ・グラフィックス(CG)は我々の生活に欠かせない存在となってきました。映画やテレビの映像では、あらゆるものがCGで表現されています。デジタル・ファブリケーションの分野では、衣服、家具、ロボット等の設計にCG技術が活用されています。CGコンテンツが益々必要とされる中、我々は人工知能技術に基づき、ユーザにとって使いやすいCGツールを開発することで、コンテンツ産業の未来に貢献します。


動画中の物体を消去する技術

遅延フィードバック制御の数理解析

教授 宮崎倫子

時間とともに変化する現象の多くは微分方程式や差分方程式を用いて数理モデル化されます。その際、フィードバック制御における操作の遅れ、相互作用における情報伝達の遅れなど「遅延」を明示的に考慮することにより、より現実的なモデルとなります。私の研究は、「遅延」の影響を数学的に明らかにすることです。特に、近年「遅延」を利用したフィードバック制御法が応用分野で数多く提案されてきており、その数学的理論の構築を目指しています。

遅延フィードバック方程式

C-map定理


安定化可能な特定乗数

離散最適化アルゴリズムとその応用

教授 安藤和敏

グラフは、システムの構成要素間の「つながりかた」を抽象化した概念であり、工学的・経済学的問題の多くはグラフ上の最適化問題としてモデル化されます。私はこのような最適化問題を解くための高速なアルゴリズムの開発を目的に研究を行っています。最近では特に、画像処理問題から生じる離散最適化問題に対するアルゴリズムや、ある種の共同プロジェクトにおいて発生する費用の合理的配分を計算するアルゴリズムを研究しています。

画像処理問題を解くために構成されるグラフ

大規模数値解析による環境流体現象の理解・予測・知的制御

教授 横嶋 哲

海洋中での汚染物質の拡がり、強風による構造物の損傷など、環境問題や自然災害の多くは流体運動に深く関係します。我々はこのような複雑な環境流体現象の解明に数値シミュレーション技術を活用しています。数値解析の利点は、現象の核心部分の切り出し、実験観測では試せない条件設定、測れないデータの取得が可能な点にあります。結果を数理的に解析することで、現象の本質的理解・予測そして知的に制御することを目指します。

数値実験例:(上)水中を舞い落ちる金属片 (下)透過性境界近傍の乱流渦構造