シアノバクテリアには、大きく分けて単細胞性と糸状性のものが存在する。それぞれのラン藻の光合成膜では4種類の脂質(MGDG、DGDG、SQDG、PG)が保存されていることが知られているが、糸状性ラン藻の少なくとも数種には、もう一つの糖脂質が存在していることがわかった。この脂質は、糸状性シアノバクテリアに特異的なヘテロシストの糖脂質や、外膜に存在するlipidAとも異なる。現在、構造解析の結果明らかになった情報を元に、公開されているゲノム配列データを活用して、その脂質の合成経路及びその反応を担う酵素をコードする遺伝子の同定を進めている。この糖脂質は糸状性ラン藻に特異的であると考えられることから、もしかするとシアノバクテリアの糸状性化に関わっているのではないかと期待している。