生物は地球上の0-数10℃の環境で、数十億年の時間をかけ、進化してきました。この地球環境では、物質は、岩石などの固体、海水などの液体、空気などの気体の状態にあります。地球上の大部分は、100℃以下の温度状態にあります。しかし、火山、山火事、雷、隕石衝突など、物質が高温に熱せられる自然現象があります。

それでは、物質の温度をもっと上げたらどうなるでしょうか?あらゆる物質は気体状態になり、はげしく運動します。さらに温度を上げると、気体内の物質(原子・分子)から電子が飛び出し、正イオンと電子からなる電離気体となります。この時、それぞれの粒子が電荷を持っているため、お互いに強い電気力を起こします。これが、プラズマと呼ばれる状態で、物質の第4状態と呼ばれています。地上では、カミナリや蛍光燈などごく一部に見られますが、宇宙空間では、大部分がこのプラズマ状態に有ります。太陽などの恒星、太陽風、オーロラなどがプラズマ状態に有ります。

プラズマ科学とは、このプラズマ物質について、物理的、化学的性質を明らかにし、その知識を人類に役立てる為の学問です。たとえば、宇宙にある星々や星間物質の状態や現象を明らかにする研究です。地球、太陽の周りの太陽圏、地球圏(磁気圏)の様子を明らかにする研究、プラズマを用いて新材料を合成したり、先進素子を作るプラズマ応用の研究、多数の荷電粒子が引き起こす集団現象の研究、超高温高密度の水素プラズマを容器に閉じ込め、核融合エネルギーを取り出す研究などが有ります。

これまでの生物進化ではあまり表舞台に現われて来なかったプラズマ物質は、実験室で容易に作ることができる様になりました。種々のプラズマ物質を用いて、世の中に役立つ発明・発見を行うことが重要で有ると考えています。