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8月30日(金)に浜松キャンパスの学生3名が学長室を訪問してくれた。新大学の名称についての「浜松医科工科大学」が有力との中日新聞の報道を受けて、この名称に反対する署名活動をインターネット上で行ったところ400名余りの署名が集まったので(学外者の署名も一部含まれているとのことだが、この際それは大きな問題ではないと考えている)、この活動を担った有志の代表として学長に直接手渡したいというのが訪問の主な趣旨であった。具体的要望事項としては(1)この署名に示された反対意見を今後の大学名称についての議論の際に念頭においてほしい(言葉通りに引用すれば「上記署名活動を加味して議論していただきたい」)(2)教員と学生あるいは学生間でこの問題について議論する場を設けてほしいの2点があげられている。

このブログ上でもすでに述べているように、学生諸君が大学の在り方に積極的な関心を寄せて下さることは私としても大歓迎であり、今回の署名活動を担った有志の皆さんや署名をしてくださった皆さんに心から感謝したいと思う。また今回の署名について浜松医科大学との連携協議会の場や学内での議論の場でご紹介することをこの場を借りてお約束したいし、また8月の初めに受け取った別の署名活動でも求められている「対話集会」の開催についても引き続き積極的に対応したいと考えている(こちらの方は9月開催の方向で学生諸君の代表と調整したが、学生側の都合がつかないということで、10月開催を目指して日程を再調整することになっていることも併せて報告しておきたい)。

なお、署名簿自体には「浜松医科工科大学」という名称案に反対する理由が記載されていなかったので、その点についても来訪してくれた3名に口頭で聞いてみたが、基本的にはこの大学の名称だと医科と工科という専門分野以外の教育・研究(特に情報学分野)が行われていることが見えなくなるというところに集約されるようであった。これが署名を寄せてくれた全員に共通する意見かどうかは確かめようがないが、教員の間からもこのような意見を聞くことはよくあるので、おそらく中心的な理由はそこにあると考えてそれほど大きな間違いはないように思う(その後新聞の取材に対する学生諸君の答えも概ねこの線に沿っているようである)。

浜松地区大学の名称については、上記の論点以外にも「国立大学であることがわかる名称にしたい」「単科大学的名称は避けたい」という意見もよく聞く。来訪した学生諸君にも言ったのだが、私としてはこのような発想は大きな実績をあげて来ているすぐれた私立大学や単科大学に失礼なのであまり公に主張してほしくないと思っていることもこの際つけ加えておきたい。「東京電機大学」と「電気通信大学」のどちらが国立大学かを即答できる人はそれほど多くないであろうが両大学のそれぞれの魅力は広く理解されているし、「京都工芸繊維大学」が英語名称Kyoto Institute of Technologyと日本語名称を使い分けることによってデザイン分野の存在をほのめかすという細かい工夫はあるものの、国立の単科大学としてそれなりに確固とした位置を確保している例に見られるように、結局は大学としての教育・研究上の実績が最終的には決定的な役割を果たすのであって、単純に総合大学的名称の方がブランドとしての価値が高いという主張には個人的にはあまりリアリティを感じない。今後も今回の署名も含め様々な立場からの議論に耳を傾けたいと考えているが、是非このあたりも念頭においていただければ幸いである。