受講生の皆さん
新型コロナ・ウィルスによるcovid-19の世界的な流行の中、「地域と世界の法」が始まることとなりました。
日本でも4月7日に緊急事態宣言が出され、大都市部が緊急事態措置の指定区域とされましたが、昨日16日には全国が地域指定されました。
静岡大学では4月7日の宣言以前から卒業式や入学式が中止され、実施予定であったガイダンスも中止になりました。緊急事態措置の指定区域とされたことから、今後の状況次第ですが、新型インフル等特措法45条1項により、県知事から大学の利用制限や停止要請が出される可能性もあります。
covid-19の流行だけでも恐ろしいのに、大学で授業を受けられなくなったり、バイトができなくなったり、友だちと遊べず、自宅に閉じこもっていなければならなくなったり、マスクや必要なものが買えなかったり、いろいろ不便であるだけでなく、孤独で、不安な日々を過ごしていることでしょう。
新型コロナ・ウィルスは確かに恐ろしいもので、正規のワクチンも未だ開発されていませんが、ウィルスの正体は分かっています。これは科学的に解明可能であり、対処可能なものです。
これに対して皆さんの生活を不便で不安なものにしている緊急事態宣言とか、自粛要請とか、大学の授業延期などはいったい何なのでしょうか。誰が、どんな理由で、どのように決めていることなのでしょうか。それは正しいことなのでしょうか。わたしたちはそれに従うべきなのでしょうか。考えればきりがありません。
良く分からないものは恐ろしいものです。でももっと恐ろしいのは良く分からないのになんとなく従ってしまうことです。なぜ、どうして、わたしたちはそうすべきなのか。このような考えてもみなかった事態に直面してしまったのですから、この機会にとことん考えてみましょう。
さあ、「地域と世界の法」の始まりです。
しかし、残念なことに教科書の販売が宅配のみとなり、皆さんの手元に届くのがかなり遅くなりそうです。そこで、代替教材を用意しましたので、それを用いて学習を進めて下さい。
さて、新型コロナ流行と緊急事態宣言、なかなか難しそうな問題ですから、いきなりぶち当たるのではなく、少し遠回りして、まずはこの問題を考える視点を明確にしておきましょう。
それは、第1に「人権」という基準です。そして人権保障を目的とする国家と人権との関係はどうあるべきかという問いです。
人権とは何か、人権と国家との関係はいかなるものか、これは既に日本国憲法の授業で学んだことですが、次のビデオと文章によって改めて考えて見て下さい。
確認問題
1.憲法とはなんでしょうか。
2.日本国憲法の前文を読んで、日本国憲法の目的を一言でまとめなさい。
3.憲法13条個人の尊重について簡単に説明しなさい。