・宇宙エレベーター(Space Elevator)とは

宇宙エレベーター(軌道エレベーター)とは,地表から静止軌道(高度36000km)まで伸びている構造物に沿って運搬機が昇降することにより,宇宙と地球との間で物資の輸送を可能にするものです.
1991年にカーボン・ナノ・チューブという材料が発見されたことで実現できる可能性が高まり,アメリカでは元NASA傘下のlifeport社が実際に宇宙エレベーターの実現に取り組んでいます.また日本ではスカイツリーを建造した大林組も建造すると言っており,近年注目されつつあります.

 

・SATTでの活動

SATTでは,宇宙エレベーターの昇降技術の開発を目的として,小型の実験機を製作し,地上や低空での昇降実験を行っております.
宇宙エレベーターは一般的なエレベーターと違い,機体を動かすモーターが機体と一体化しております(一般的なエレベーターはロープで吊るされているだけであり,エレベーターとは別の場所に固定されたモーターがロープを巻き取ってエレベーターを動かす).そのため,機体構造や挙動が大きく変わり,宇宙エレベーターはそれほど簡単には作れないものとなっております.
私たちは,構造設計の段階から議論を重ねて,試行錯誤しながら1年に一機のペースで実験機を製作しております.
出来上がった機体は,大学構内にて昇降実験を重ねた後,より高い高度での昇降を行うために,宇宙エレベーター協会主催のSPEC(宇宙エレベーターチャレンジ)にて高度数100メートルの昇降を行わせています.

機体の製作では,主に構造系と電装系に分かれて作業を行っております.構造系は機体の設計や工作機械を用いての加工,電装系はモーターをはじめ,スイッチやセンサの組み込み・プログラミングを行います.