私たちは、個人や生物、地域などの要素が相互作用することによって、集団全体にどのような構造やダイナミクスが生まれるのかを研究しています。
統計物理学、非線形動力学、確率過程、ゲーム理論、ネットワーク科学などを基礎として、数理モデルの構築と解析、数値シミュレーション、実データの分析を組み合わせます。理論と現実のデータを行き来しながら、複雑な現象を生み出す仕組みを明らかにすることを目指しています。現在は、主に次のテーマに取り組んでいます。
- ネットワーク科学と社会データ解析
人や地域、生物などの「つながり」をネットワークとして表現し、その構造と、ネットワーク上で生じる現象との関係を調べます。コミュニティ構造、空間構造、階層性、異質性などに着目し、オンライン上の行動記録、社会的な接触、人の移動などの実データも分析しています。 - 感染症と人の移動の数理モデル
感染症の拡大は、地域内の接触だけでなく、地域間の人の移動にも左右されます。人流ネットワークと感染症モデルを組み合わせ、感染が地域間をどのように広がるのか、また、移動や接触に対する介入が感染拡大と社会にどのような影響を及ぼすのかを研究しています。 - 進化ゲーム理論と社会的行動
協力、競争、情報利用、意思決定などの行動が、集団の中でどのように生まれ、広がり、維持されるのかを数理的に研究します。個人にとって合理的な行動と、集団全体にとって望ましい結果が一致しない状況にも着目し、社会構造や環境の変化が行動の進化に与える影響を調べています。 - 数理生態学と確率的ダイナミクス
- 生物種の共存、絶滅、個体数変動、周期的な現象などを、確率モデルや力学系を用いて研究します。生物学的な背景を踏まえながら、個体レベルの相互作用と生態系全体の振る舞いを結びつける理論の構築を目指しています。
- 数理モデルとデータの接続
現実のデータには、不完全性、観測の偏り、個体差、不確実性が含まれています。モデルが何を説明でき、どこまで予測や介入に利用できるのかを検討することも重要な研究課題です。特定の現象だけに閉じず、さまざまな分野に共通する数理構造を見いだすことを重視しています。