2021年度から多くの公立小学校・中学校では,「GIGAスクール構想」による1人1台端末の活用が始まりました.また,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からは,1人1台端末を活用したオンライン授業の試行や,自宅から子ども達がオンラインで授業に参加する方法の検討等が推進されてきました.一方で,新型コロナウイルス感染症拡大を受けての緊急対応でもあり,準備時間が非常に限られた中で,限られたリソースで「学びを止めない」ために尽力されてきた関係者の皆様のご苦労は大変なものだったと思います.遠山も知り合いの関係者の方々からお話を伺い,何か自分にできることはないかと考え,オンラインでのプログラミング教育やオンラインでの先生方向け研修会を開催させていただいてきましたが,これらは単発の取り組みであったため,毎日現場で対応されてきた方々のご苦労とは比べるべくもありません.
こうしたときこそ,1人1台端末を活用することで大変だったこと,良かったことなどをざっくばらんに共有するためのフリーな場が重要ではないかと考えました.そこで,10月24日に「GIGAスクールの良さも課題も忘れない!」ミニシンポジウムを,静岡大学情報学部 地域連携推進室のご後援の下で開催させていただくことにしました.登壇いただいたのは以下の先生方です.
- 菊地 寛 先生(浜松市立雄踏小学校)
- 冨永 浩司 先生(磐田市立田原小学校)
- 西谷 聡一郎 先生(牧之原市立榛原中学校)
- 村松 卓 先生(静岡県立浜松南高等学校)
シンポジウムには,小学校から高等学校までの管理職を含む先生方10名,および教育関係職を志望する学生2名が参加してくださいました.
ICTのより良い活用方法はは児童生徒からのヒントが有益に働くことも多いため積極的に活用していくのが重要であること,先生やアプリから知識を伝達するための道具ではなく子どもが主体的に学び進める道具として端末を位置づけていく必要があること,そのためには持ち帰りや教室での端末の保管場所も含めて端末活用の敷居を下げること,高等学校での1人1台端末の導入推進も重要であることが議論されました.また,既存教材(例えばYouTubeにも数多くの「教材」があります)の中から,生徒の学習を特に推進すると期待できる教材を教師が選定して生徒へ提案することも有効だという知見が示されました.これは,1人1台端末時代における,先生方の働き方改革としても意義があることかもしれません.
今後,高等学校では2022年度から「情報Ⅰ」を含む新しい指導要領での教育が開始されます.教科「情報」によって大学入学共通テストの在り方も変化することが予想されています.高等学校でどのように1人1台端末の環境を実現していくことができるのか,またどのように活用していくことが有効なのかは,引き続き検討していきたいと思います.
本イベントは以下のページで参加者募集を行いました.
https://www.inf.shizuoka.ac.jp/event/detail.html?CN=154630