RESEARCH

微生物燃料電池の実用化は可能か?”
 ・廃棄物のエネルギー化
 ・水質浄化
 ・水素燃料生産(電気分解)
私たちは毎日のように食べ物を消化して「エネルギー」を得ています。生物が食べ物(有機物)を分解して作る電気を生体電気といいます。例えば、日本から年間排出される下水には新型原子炉6.5個が生産するエネルギー(6.5GW)に近似する量のエネルギーが含まれています。この下水を40%の効率でエネルギー化することで、新型原子炉3.2個(3.2GW)を代替する効果が得られます。私は高い電力を求めるとともに、農業・海・製鉄所といった各分野に特化した活用法を提案し、微生物燃料電池の普遍化に努めています。

“産業副産物を活用した炭素隔離場の造成”
 ・産業副産物を利用した生態系創成
 ・干潟の炭素隔離メカニズム
 ・人工干潟の造成
海の中でも、光合成植物が生息する干潟や浅場は、炭素隔離密度が最も高い地域です。日本国内では、海の生態系を再生する一環として、人工干潟が多数造成されています。しかし、これまでに作られたすべての人工干潟に動植物がうまく定着したとは言えません。その原因の一つとして、栄養分が不足する「貧栄養化」現象が挙げられます。産業副産物である石炭灰や鉄鋼スラグは、多量のミネラルを供給するだけでなく、水中の栄養塩を吸着して、地盤の貧栄養化問題を低減します。干潟造成を作る材料により、どのような動植物が定着するかに影響を与えます。この研究分野を発展させ、生態系の再生を通じて温室効果ガスの削減に貢献したいと考えています。

“海をきれいにする技術への応用”
 ・富栄養化問題
 ・酸素枯渇問題
 ・悪臭問題
人間社会によって排出される下水には、多量の有機物(微生物の餌)が含まれています。微生物は人間と同様に酸素を消費(呼吸)し、老廃物を排出するため、海では酸素不足や悪臭(老廃物の生成)といった水質汚染を引き起こす原因となります。私は、先ほどご紹介した「微生物燃料電池」と「産業副産物」を利用して、海をきれいにする研究を行っています。