【第44回】ホトトギス

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投稿者:村田 武夫(昭和35年 工学部 電子工学科卒)

風薫る五月のある早朝(5時前後)、窓を開けると遠くの方から、「特許許可局」、または 「テッペンカケタカ」と鳴いている鳥の声が聞かれました。この鳥は、天下人:信長、秀吉、そして、浜松、静岡にゆかりある家康公が詠まれた句に登場するカッコウ目カッコウ科(ホトトギス目、ホトトギス科とも云われる)のホトトギスです。この鳴き声を聞いておりますと、今、話題の待機児童のことが大変気掛かりになります。カッコウ目カッコウ科には、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチなどがいて、毎年、この島国に南の国から渡って参ります。ご存知の方が多いこととは存じますが、何れも、生みの親は、子育てをしません。ホトトギスは、抱卵、育雛とも、主に、「法、法華経」と鳴くウグイスにお願しております。ウグイスの留守を見計らって、ホトトギスの雌は、ウグイスの巣からひとつ卵を咥えて外に捨て、そして、自分の卵ひとつをその後に産み付けます。その後、何も知らないウグイスは巣に戻って、疑うことなく抱卵を行います。一足早くホトトギスの卵は雛にかえり、その雛が他の卵および、孵った雛を背中に乗せ、外に出して捨てます。そして、育ての親の運ぶ餌を独り占めして早く成長します。巣立ちの日が近付きますと、生みの親が揃って、側に来て、巣立ちを促すように「特許許可局」と鳴きます。その後、親子揃って、南の国へ目出度く旅立って行きます。巣の中はモヌケの空となります。偶々、托卵されたこのウグイスはこの時季、子孫を残せません。可哀想ですね!

最近、ウグイスが少なくなったためでしょうか、ホトトギスの鳴き声が聞かれません。

この島国に住む人間様、子供が生まれても、両親揃って働きに出なければならない事情があり、子育てが出来ません。そこで、赤ちゃんや幼児を預かって頂けるところを探す訳ですが、なかなか大変なようです。まるで、人間様がカッコウ目に仲間入りしたようです。子育ての基盤整備が急がれますね!