【第154回】囲碁の劫(コウ)

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投稿者: 八木 伊三郎(昭和49年 工学部工業化学科卒)


人生100年、10年、20年何かに集中すれば、多少はものになると信じている。退職を機に、囲碁に熱中している。囲碁のはじまりは、四千年くらい前、中国からといわれているが、囲碁で用いる劫(コウ)は仏教などインド哲学の用語で、極めて長い宇宙論的な時間の単位である。例えば、ヒンズー教では、SI単位系で1.36×1017秒=神々の1200万年= 43億2000万年を表し、西洋では、イーオン (aeon:永遠) と訳されることがある。日本では、“未来永劫”の“劫”である。落語の「寿限無」に「寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ ・・・」と出てくる。「五劫の擦り切れ」とは、「天女が三千年に一度、天から下界におりてきて、大きな岩を衣でひらりとなでる。三千年に一度おりてきて、ひらり。そしてこの岩が擦り切れてなくなってしまうのを一劫(いっこう)という。五劫だと200億年超となる。」とのこと。

囲碁のルールは、簡単である。㋐相手の石の四方を囲めば取れる、㋑囲った地の多い方が勝ち、㋒打てない場所がある(自分の石が取られる場所には打てない。ただし、相手の石が取れるときは打てる。)、㋓コウ(コウ:彼我の石の1子ずつの取り合い)は相手が取った後すぐに取り返せない、である。

①図、黒1とホウリコムのが上述した“ただし、相手の石が取れるときは打てる”ウッテガエシの場所。
②図、白2と黒1を取ることができるが、③図、黒3と白3子をすぐに取り返すことができる。
図④、問題図、ウッテガエシの技と、コウに持ち込む技との複合手段で、手をつくる技を紹介する。
図⑤、△で囲まれているところがウッテガエシの場所、×で囲まれているところがコウの場所。
図⑥、図⑦、ウッテガエシ狙いの黒1。ウッテガエシを防ぐ白2、白の×2子を取ろうとする黒3、白2子を取られるのを防ぐ白4、黒5コウ。白はBと取ることができる。黒が他にコウ材を打ち、白がそれに付き合うと、Cと取り返すことができる。BとCとの取り合いがコウである。